筆記用具と紙の話#01 テクスチャー編
こんにちは。WRAPALLETです。
みなさまはどんな紙がお好きでしょうか。
展示会やイベント等で色んな種類の紙に試し書きしていただくと、「するする書ける紙が好きです!」と紙の話で盛り上がったり、「万年筆に相性がいい紙はどんな紙ですか」と相談していただく場合もあります。
たまに「どんな紙がいい紙なのですか?」と聞かれる場合がありますが、いい紙とは、使い手の用途と好みに合った紙だと思います。
紙の特徴を示す専門用語はたくさんありますが、「書きやすい紙の話#01 テクスチャー編」では、筆記具・紙を使うシーンと相性の良いテクスチャーの話をしていこうと思います。
紙のテクスチャーの分類
紙の書き心地を左右するテクスチャーは、紙の繊維感と凹凸が主に関係しています。
●繊維感がある紙
針葉樹のような繊維がしっかりした原料を使用した紙(例えばクラフト紙)や繊維の柔らかい風合いを生かしたコットン調の紙などがあります。筆記用具がほど良く繊維に引っかかり、しゃりしゃりした書き心地を楽しめるのが特徴です。しかし、先の尖った万年筆やペンで書くと先が引っかかってしまう場合もあります。
●繊維感がない紙
一般的な紙は、広葉樹を原料に使用しているものが多く針葉樹よりも繊維が短いので繊維感が感じにくくなります。更にローラーで表面の繊維を押さえつけるのでなめらかに筆記ができます。
●凹凸がある紙
紙を製造する際、木の繊維を水に溶かしたどろどろのパルプを網に流し、乾燥させて紙にしていきます。その工程で、紙の密度をあげるためにプレスをしていますが、プレスを軽めにすることで画用紙のような凹凸のある風合いを出すことができます。レイド紙のように、製造途中でわざと紙を引っ掻いて紙に盛り上がりをつくり、レイド(簀の目のような透かし模様)をつけている紙もあります。また、製造された紙に型を押しつけて、エンボス模様を出している場合もあります。凹凸があることで、引っかかりのある書き心地が生まれます。また万年筆や水彩画などは、インクや絵具が凹凸に溜まり、味のある表現ができます。
●凹凸がない紙
プレスをしっかりすることにより、凹凸がないなめらかな書き心地の紙になります。また、プレスをしっかりすることにより、紙の密度が上がり、消しゴムで擦ってもへたりにくいという利点もあります。
紙と筆記用具の相性
みなさまは、どんな筆記用具をお使いになることが多いでしょうか。
前の項で、紙の書き心地を左右するテクスチャーは紙の繊維感と凹凸が主に関係しているというお話をしましたが、
●凹凸なし✖️繊維感なし(A)
●凹凸あり✖️繊維感なし(B)
●凹凸なし✖️繊維感あり(C)
●凹凸あり✖️繊維感あり(D)
の事象で相性の良い文具をみて行きます。
●鉛筆・シャーペン
鉛筆・シャーペンは、芯の粒子を紙にこすりつけることにより文字や絵が描けるようになります。よって適度に摩擦がおこる紙の方が粒子が定着しやすく、すべりが良すぎる紙は逆に粒子が定着しにいと感じるかもしれません。
〈オススメの紙〉
・Hや2Hなどの硬い芯の場合
→力を入れてくっきりした線が描ける A
・Bや2Bなどの柔らかい芯の場合
→繊細な指の強弱を摩擦によって紙に伝えることができる B・C
●ボールペン
ボールペンは、ペン先のロールを回転させることにより、インクを紙に定着させます。
適度に摩擦が起こる紙ですとロールが回転しやすく、すべりが良い紙だと、ロールが回転せず、インクが出にくいと感じやすくなります。また、繊維感が多いとペン先が引っかかりやすくなるなります。
〈オススメの紙〉
・適度な摩擦となめらかな筆記を楽しめる C
●万年筆
万年筆は、インクが重力に応じて流れ出ますので紙への摩擦が無くても文字や絵を描くことが可能になっています。ペン先が鋭い物や尖っているものは、紙の繊維に引っかかってしまうことがあるので、繊維感が少ないなめらかな紙をお選びいただくと良いかと思います。また、インクのにじみを楽しみたい場合は、繊維感が少なく凹凸がある紙をお選びいただくと、インクが紙の凹凸にたまり、味のあるにじみを楽しむことができます。
〈オススメの紙〉
・鋭いペン先や尖っているペン先の場合
→滑りの良い筆記が楽しめる A
・インクのにじみを楽しみたい場合
→凹凸にインクがたまって味のある表現ができる B
●筆
筆も万年筆同様インクが重力に応じて流れ出ますが、筆の繊維のコシを利用して筆記するため、ある程度摩擦のある紙の方がコシを効かせやすくなります。また、にじみ表現をする場合など、凹凸がある紙をお選びいたくと、インクが紙の凹凸にたまり、グラデーションを楽しむことができます。
〈オススメの紙〉
・筆のコシを効かせた表現を楽しみたい場合 B・C・D
・にじみ表現を楽しみたい場合 B・D
オススメの紙
実は、紙を科学的に評価する項目はあるのですが、紙の書き心地を評価する観点が今はありません。あくまで個人的な感覚で、A〜Dから1種類ずつ紙をオススメさせていただきます。他に何かオススメの紙がありましたらぜひコメントしてください!
●マシュマロCoC
A:繊維感なし✖️凹凸なし
その名の通り、マシュマロのようななめらかな質感の紙です。どんな筆記用具で書いても、紙表面を滑るようななめらかな書き心地を楽しめます。
●ダンデレードCoC
B:繊維感なし✖️凹凸あり
富国紙業オリジナルのレイド紙です。適度なひっかかりとなめらかな書き心地が楽しめます。
●クラフト紙
C:繊維感あり✖️凹凸なし
ざらっとした風合いが楽しめる紙です。しゃりしゃりした書き心地が特徴です。
●アラベール
D:繊維感あり✖️凹凸あり
繊細で柔らかい風合いの繊維感と表面の凹凸がある、優しい風合いが特徴な紙です。
紙と使用シーンの相性
余談になりますが、紙を使用するシーンによって選んでも良いのではと思います。
素早く何かを書いたり、行書のようにスピード感をもって文字をかく場合はなめらかな滑りの良い紙(A)が向いていると思います。
丁寧に何かを書いたり、楷書のようにしっかり文字を書きたい場合はある程度引っ掛かりがある紙(B・C)がオススメです。
おわりに
以上になりますが、紙をお探しになる際に参考になると幸いです。
皆様のご意見やご感想お待ちしております!
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