添い寝
まるで岩場に抱かれているような寝心地で、彼の善意を受け止める。翌朝の首の痛みは、彼の腕の中で眠りについたことを際立たせる証拠になる。一人で心地よく眠るよりも、二人で心地わるく眠りたい日もある。
睫毛のカーテンを揺らしながら彼を見つめる。夢なのか現実なのか定かではない状態で彼の頬を撫でる。ぼやっとした視界から彼の表情を正確に知ることはできないが、私の手に気持ちよさそうに擦り付いていることは確かだ。
寝ぼけていても「大好きだよ」と伝えたくなる。判断能力が低下しているため、惜しみもなく見返りもなく「大好きだよ」と伝えてみる。そんなときに、彼は必ず「大好きだよ」と愛を与えてくれる。その言葉に安心し、再び夢の世界を放浪する。十分に夢の世界を歩くと、現実世界に引き戻される。長い時間別世界に行っていたにも関わらず、現実世界ではずっと彼の腕の中で過ごしていた。
愛する人の寝顔はなぜ愛おしいのだろう。笑顔も泣き顔も怒った顔も全て愛おしい。寝顔は特に愛おしい。幼少期の彼を見たことがないのに、赤子に戻ったようにスヤスヤ眠りについている姿を、変わらないなあと懐かしんでしまう。
眉間に寄っている皺を引き延ばすために、親指を下から上へ動かし撫でると、気持ちよさそうに眠っている。一体どのような夢を見ているのだろう。