ねむれないしねないかけない
今なら死ねると思った。今なら死んでいいと思った。私が望んでいる冬の暖かい日ではないし、お天道様ではなくお月様が私を見てくれている時間だ。晴れた日の朝でもなく、冬の寒い日でもなく、月残る空でもなく、でも、今かなと思った。
思ったのに、そういえば今日、卒業式の袴を予約したばかりだった。大学に友達はいないし、卒業式なんか出なくたっていいのに、家は貧乏であることを知っているのに、母は私の袴姿が見たいと言って大金を払ってくれたのだ。何日以内なら契約を破棄できたな、と思ったが、本人の署名