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小学生のころグライダーをくれたおっちゃん。あれが本当の趣味人だった。
小学生くらいか。父と公園に行ったとき、グライダーを飛ばしている一人のおっちゃんがいた。なにやら輪ゴムで引っ張って飛ばすらしい。グライダーは勢いよく飛んで、空を滑空していた。すごいなあと見ていたら、おっちゃんが近づいてきて、やってみる?とグライダーを渡してくれた。よく覚えている。
おそらく段ボールか何かでできていたそのグライダーは、銀色の塗料で塗られていて、先端にはおもりがついていた。戦闘機みたいな感じだったか。段ボールでできているとは思えないくらいかっこよかった。おっちゃんに飛ばし方を教わってやってみたけど、あんなにうまくは飛ばなかった。でも、楽しかった。
見知らぬおっちゃんが、こんなすごいもの作れるんだ、と子供ながらに感動したし、何より楽しそうだった。僕があまりにも夢中になっていたからか、おっちゃんはグライダーをくれた。嬉しかったな。本当によく覚えている。
今思い出しても、ほんとに素敵な人だった。正直、見た目はなんか汚そうなおっちゃんだったと思う。でも、そんなの気にならないくらい魅力的だったのは、本当に楽しそうだったからだ。子供にこうやって遊びを教えてくれる大人は、今もいるのだろうか。
現代は、様々なエンタメにあふれている。音楽はストリーミングでなんでも聴けるし、ネットフリックスで映画もアニメもなんでも見れる。面白いゲームはたくさんあるし、通販でほしい本はすぐに手に入る。
そんな時代だからこそ、あのおっちゃんのような人がうらやましいと思う。段ボールと輪ゴムであんなかっこいいものを作れるんだから。現代の僕たちは受動的になりすぎたのかもしれない。こんなにエンタメにあふれているのにどこか満たされない気持ちになるのは、自分で何かを作ろうとしていないからだろうか。
僕は化学が専門だが、化学も言ってみればモノづくりの学問である。
あの頃のおっちゃんに学ぶことがたくさんある。
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