呪われた女7
立川 M 生桃
その夜。たけのこ婆は、百味を作った。そして、山姥に会うために手土産を用意した。
次の日、天狗がやってきた。
たけのこ婆さん。わしがこの団扇で、お前を小さくしてやる。
団扇の羽の内側で、仰ぐとみるみる小さくなった。
天狗は、小さくなった、たけのこ婆さんを懐に入って空を飛んで行った。
時間にして30分位だろうか。 その場所に着いた。
天狗が今度は、反対側の団扇で扇ぎ、たけのこ婆を元の大きさに戻した。
わしの役目は、これでお終いじゃ。
成功を祈るぞ。そう言って去ろうとした。あんた。話が違うじゃないかい。
巻物を持ち帰るまで、一緒にいておくれよ。
天狗は、高い鼻をほじって鼻くそを丸めた。
たけのこ婆。これを大切に持っていろ。わしが良いというまで、大切にだぞ。
たけのこ婆は、仕方なく、それを了承した。
お堂の中に入ると、どこかで、見たことのある掛け軸が中央にあった。
そして、、そこにはあの睨みつけた毘沙門天がいた。
たけのこ婆は、怖くなった。
しかし。ここまで来たのだから、毘沙門天に、夜なべした百味を供えた。蝋燭に火をつけ、その火を線香に移し線香たてにたてた。
毘沙門天の仏像がみるみる、小さくなった。そして、お供えの百味を食べだした。
驚いた、たけのこ婆は、毘沙門天が今度は可愛く見えた。
全て食べた小さな毘沙門天は、引き出しを指差した。
たけのこ婆は、その引き出しから巻物を手に入れた。
その巻物には、東西南北、108反、おんべいしらまんだやそわか と書いてあった。
たけのこ婆は、巻物を持ち帰ろうとした。すると、蝋燭の火が消えて、お堂の扉がガタガタ揺れだした。
すると、扉が開き。誰かお堂の中には入って来た。
よく見ると、前にあった若い女だった。
たけのこ婆が、あんた何で、こんな所に来なさった。
女は、お前さん。その巻物を持ち帰ろうとするのかい。
その巻物を写経のように墨で紙に写しなさい。
毘沙門さんの罰が当たるよ。それに、勝手に百味をお供えして、お前さんは何も知らないね。
たけのこ婆は、女に言われたように、そこにあった紙に写した。
これでいいかい? 百味は、まだ有る。どうしたらいいのかい? と女に聞いた。
女は、毘沙門さんが子供のように小そうなられた。あんた。天狗からもらった、鼻くそを私におくれ。そう言って女は手を伸ばした。
仕方なく天狗から、もらった鼻くそを女に渡した。
女は、毘沙門さん。これをお食べ。これは、そこの女がやった事だよ。その女だよ。
そう言って、小さくなった毘沙門天に与えた。すると毘沙門天は、それを食べた。
すると、みるみる大きく元の姿になった。
毘沙門天が、たけのこ婆を睨みつけると長さ5メーターある大きな百足が、たけのこ婆に巻きついた。
たけのこ婆は、苦しく、吸い付かれるように、ビリビリした痛みに耐えた。
もう。駄目だと思った、その瞬間。た。助けて。
そう心で念じると、それはそれは、綺麗な女が光る玉を持って現れた。
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