呪われた女9
立川 M 生桃
たけのこ婆は、天狗から道案内されて、大きな屋敷に着いた。
その大きな屋敷の中に足を踏み入れる事が出来なかった。
すると。そこに、あの若い女が現れた。貴女、そこで何をしてなさる?
たけのこ婆は、天狗から道案内されて、山姥に会いにきた事を話した。
しかし、訪ねようにも屋敷の四脚門の所で足止めにあって、ここから進む事が出来ない。そう、女に話した。
そうだろうね。貴女のような人に、この門をくぐる事などできやしない。
この門をくぐる事ができたら、山姥に会わせてあげるよ。
そう言って女は、その四脚門を簡単にくぐって、大きな屋敷に入って行った。
たけのこ婆は、考え込んでしまった。たけのこ婆は、四脚門の前で3日もの間、寝泊まりして考えていた。
すると、大きな大蛇が現れ、その四脚門をくぐって門の中に入って行った。
その後を追うように、みすぼらしく、ぼろぼろの着物を着た1人の乞食の男が大蛇を追いかけて四脚門をくぐろうとしたが、足止めにあった。
すると、その乞食の男が、たけのこ婆に気がつき話しかけてきた。
七面池の中央の祠に行き、さざれ石を持ち帰ってきて欲しい。そう、たけのこ婆に頼んだ。
たけのこ婆は、意味がわからなかった。お前さんが行ってすれば良い。なんで私に頼むんだい?
乞食の男が、その池は、女しか行く事ができない。そこで、さざれ石を持ち帰ったら、あんたの悩みも解決してやる。そう頼んできた。
何て気色の悪い男だろうね。ぼろぼろの身なりをして。。。ここまで、臭いがするじゃないかい。そうたけのこ婆は思った。しかし。この乞食の男を信じる事にした。
たけのこ婆は、七面池が何処にあるか、その乞食の男に道案内してもらった。
七面池に着くと、その池のはるか向こうに祠が見えた。
どうやって、そこまで行けば良いのか? たけのこ婆は、考え込んでしまった。
たけのこ婆は、泳ぐことができない。乞食の男は笑って、それを見ていた。
あんた。わたしゃ。高齢のただの婆だよ。どうやって、あそこ迄行けば良いんだい。
すると乞食の男が、お前。ここまで来るのに、何か信じる物が、あって来たんじゃないのか?
信心する者が山姥を訪ねて来る。お前の信じる物をわしに見せてみろ。
たけのこ婆は仕方なく、この間、手に入れた毘沙門天の真言を唱えることにした。
おんべいしらまんだやそわか。108反。すると不思議な事に、池から沢山の大きなガマ蛙がまっすぐ池の祠まで道を作った。
乞食の男が、ほう。お前は、そういう者であったか。早くガマ蛙の道を渡って来い。
そう言って帰ってしまった。
たけのこ婆は、大きなガマ蛙の道をよろめきながらも渡り、なんとか祠を開けた。綺麗なさざれ石があった。
心の中で、すみませんが、これを頂いて行きます。どうか、無事に山姥に会えますように。そう言った。
たけのこ婆は、何とかさざれ石を持ち帰った。
そのさざれ石を乞食の男に渡した。すると乞食の男は、お前さんの分だと、そのさざれ石を少し分けてくれた。
乞食の男は、四脚門を簡単にくぐって屋敷の中に消えてしまった。
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