私の魂をゆさぶるひと
その夜私は走っていた。JR新橋駅構内を。
1本でも早い銀座線に乗りたかったからだ。
そして、1分でも長く、その人と一緒にいたかったから。
誰かに会うのが待ちきれなくて走ったのなんていつぶりだろう?
私は人波を器用にすり抜けながらふと考えた。
閉まりかける直前のドアに滑り込む。(駆け込み乗車はご遠慮ください)
心臓がゴトンゴトンと派手な音を立てる。頬が熱を帯びて紅潮している。スマホを操作する指先が微かに震えている。呼吸を整えなければ。
全くもって私らしくない身体反応である。
到着まで10分。
10分後、私は彼に再会する。
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