「学校管理職が進める教員組織づくり」ブックレビュー

学校という組織は、どうしても停滞しがちです。

授業週18時間、ホームルーム、部活動、校務分掌、宿泊引率。1人の人間がこのように多岐の仕事をこなす職業は他には無いのではないでしょうか?そんな多忙の学校現場で変革を起こそうとすると一苦労です。不可能とも言えるかもしれません。

しかし、今回ご紹介する「学校管理職が進める教員組織づくり: 教師が育ち,子どもが伸びる 校長のリーダーシップ 」の著者、河村茂雄先生は著書の中で「それが自分にとって本当にやりたいことであれば多忙感は感じないものである。」と説きます。

確かに、部活に熱心な先生が部活動が忙しいと文句は言いませんし、授業が得意な先生が生徒を教えるのに忙しいと教えることを拒否しません。つまり、先生方が「忙しい」と仕事を拒否する理由の背景には「その仕事は自分のやりたいこととは違うもので、自分がやりたいことは別にあるから嫌です。」と言っているのです。

そんな現場を改善するためには、管理職は先生一人一人に目を向け、その先生が頑張っていることを応援し、これからお願いする仕事の重要さをしっかりと伝える努力が必要なわけです。教育現場はとりわけ生徒には手厚く接するものの、先生は蔑ろにされがちです。現場の先生が生徒を懇切丁寧に指導するように、管理職は先生を懇切丁寧に指導する必要があるのではないでしょうか?

本書の著者は有名な心理テストQ-Uの開発者です。Q-Uは生徒に対して実施し、クラスの様子を客観的に把握するのが一般的ですが、本書では先生方へ実施し、教職員の組織への帰属度を測るのにも活用できるとしています。

Q-Uですが、自身の指導力の無さをテストで客観的に指摘されそうで嫌ですが、1回の結果だけではなく、年数度実施し、変化を見るための道具として活用する方が先生のメンタル面からしても良いのではないかと思います。私は職業柄特定のクラスは受け持っていませんが、部活動などにも活用できたら面白いなと思っています。


世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。