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オーバーツーリズムのバリ島、現地を応援する気持ちでゆるくサステナブルに旅をした

「ノマド」という言葉が浸透して久しい。
場所やオフィスに縛られず、リモートワークしながら好きな場所で長期的に滞在する、まさに「暮らすように旅する」が実践できる生き方だ。ビザの種類やビザの許す限り、という条件はあるが最近では海外でもノマドする人が増えている。

かつての旅人である私。そんなライフスタイル、過去の私が狂喜乱舞するではないか…!それならばと、試しに東南アジアをノマドしてみることに。主にタイ・チェンマイで過ごした後、年越しを挟んで3か月のあいだインドネシア・バリ島に滞在。結果、2023年はほとんどノマド暮らしになった。

旅行ではなくノマドという旅スタイルだから見えてきたことがある。
そして旅の姿勢に少しの変化が生まれた。「受け身の旅ではなく、何か旅先の地域にできることはあるかな」。そんな問いを持って滞在したノマドの日々で、自分なりに導き出した答えについて書いてみたい。


バリ島ノマドで生まれた違和感とは

チェンマイ、バリ島ともにノマドの聖地と言われており、世界中からデジタルノマドと呼ばれる人たちが集まっている。
いつもパソコンに向き合って仕事をするリモートワーカーたちが、環境を変えることでリフレッシュしながら、場所によってはリゾート気分を味わいながら収入を作り経済を循環させながら滞在する、というもの。

チェンマイはさておき、私はバリ島で大きな違和感を覚えてしまった。

ちょっと…人、多すぎない?

それも現地人ではない、主に白人系外国人がとにかく多い!
それも日本のように日本人の暮らしがあくまで中心にあってインバウンドが活性化している、というものではない。もはやバリ人に交じって外国人が自国さながらに暮らしているのだ。
オシャレなカフェが多いことでも人気の観光地であるクタ、ウブドなどもそれらの店の出資者はヨーロピアンであることがとても多い。

私は本業でエシカル、オーガニックといったライフスタイルの取り組みを発信している関係で、旅先でもどうしても同様の活動に目が行く。現地にあるエシカルホテルやレストランに取材をさせてもらうこともあったが、そのほとんどがドイツ、スペイン、フランスといった環境問題に意識の高いEU諸国だ。
ちなみに誇らしいことに、ウブドにある「Mana Earthy Paradise」は日本人のご夫婦が運営する循環型リゾート施設だ。

世界中からバリ島に来た外国人が「人と自然に配慮した」考え方や文化を広める、それ自体は素晴らしいことだと思う。

バリ島ローカルやインドネシア人に話を聞いたときのこと。ごみの分別やごみへの意識などが行き届いていない地元民が多いなか、こうした外国人がエシカル、サステナブルという概念を持ち込むことで改めてその大切さに気づいた、という声も聞いた。

とはいえ、本来のバリ人は自然を崇拝する独特の文化を持ち、自然との調和の中で暮らしてきたと聞く。実際、今も祈りのために毎日用意されるチャナン(花や菓子を盛ったお供え)の容器は自然に還る素材で作られている。
そんな彼らの暮らしに利便性重視で、プラスチックや現代の消耗品を持ち込んだのもまた外国人なのだとしたら、どっちが先か論争になってしまうので、いったんそれは置いておく。

いずれにしても、私が感じたのは全体的な不調和、バランスの欠如だ。

このように外国人が作る町は、本当に彼らのためになっているのだろうか。

今やノマドや観光客で溢れるチャングーも、もともとのどかな田園風景が広がる地域だった。町の作りがなんとなくいびつで、道が迷路みたいになっているのに違和感を感じ、地元生まれのドライバーに聞いてみた。「あっという間に観光客や、中長期で滞在する外国人が増え、店を建て続けているとこうなった。外国人の店も多いでしょ。だから全体的には整備されていない」。
そして西洋人が作る町だから、さらに同類の観光客が増えていくという循環なのだな、と納得した。

もちろんバリ人だって観光業は懐が潤ったり、現地人の雇用を生むというメリットがある。でも求められるまま受け入れ続けたことで、今では慢性化した重度の渋滞やごみ問題に悩まされているのも事実だ。

私はもうチャングーに戻ることはないと思う。でもバリ島にはやはりダイナミックな自然や美しい人々の精神、笑顔など、また会いたい魅力が詰まっている。
だからこそ、どうせ訪れるならバリ島の人たちが本来のやり方をリスペクトできるような旅がしたいと思う。実際に私が心がけていること、アクションを紹介したい。

ローカルが営業する食堂を行きつけに

「西洋系が作った町」と揶揄しながらも、パソコンを開いてノマド作業をしたい場合、どうしても外国人が運営するカフェを選ぶこともある(ときに助かってる!ありがたい。涙)。
そんなノマド滞在でも必ず数軒はローカルが営業している食堂を選び、ぜひ行きつけにしたい。バリ島(インドネシア)は観光大国で人々も国外にオープンなので英語力が高い。そのため少し話すとその店のオーナーがどこの人か、どんな想いでその店をしているかなどを聞くことができるから参考にしてみて。

その上で賛同できるかどうか。であれば応援する気持ちで通ってみる。
その気持ちがあれば、店主やスタッフさんにも伝わり交流が生まれやすい。旅という限られた期間内でも、心地いい循環を実現できる気がしている。それは、ただ「旅先で美味しいものを食べる」以上に豊かでユニークな体験にもなるのだ。



私が前回の滞在で出会った「Antawali Kitchen」は、移住してきたジャワ島出身の若い夫婦が運営している。バリ島に敬意を持ちローカルの農家さんとつながりを作りつつ、島の文化を受け入れながら運営していた。通うほどに仲良くなり、地域の祭りなども一緒に楽しむことになった。

私がここに通い、こうして「おすすめ」として拡散することで、微力ながらローカルを応援することにつながっているなら嬉しい。実際、ウブド在住の友人は何度か行ってくれたようだ。

お土産には「本物」を選ぶ

バリ島は観光大国だから、お土産には困らない。出発日の前日でも駆け込めるマーケットもあるし、お店もそこら中にある。
同時に「それ本当にここでないと作れない?」というプラスチック製のキーホルダーとか、「本当にちゃんとフェアな対価を支払った?」と思うような一応「現地の人が作った」バッグや雑貨やアクセサリーとか、数回使ったら壊れてしまうものが販売されている。

それだけが「悪い」わけではない、買い求める人がいるから販売されている。いつもお互いのニーズがマッチしてそこに存在しているのだ。

さて、そんな中でもバリにはもちろんたくさんの「本物」がある。
ここでいう本物とは、化学物質や添加物をできるだけ使わず、その土地の昔ながらのやり方(製法や技術)で作られるもの。
エシカルな視点で考えたとき、私はやはりそちらを選ぶ人でありたい。バリ人が作った衣類や雑貨、バリ島で栽培されるハーブやスパイスを使った化粧品や食品はどうだろう。バリ島であれば島内の産地で栽培されているコーヒーもおすすめ!

旅先のお土産であっても、できれば間に合わせではなく「喜ばれるもの」「長く使えるもの」を基準に選びたい。
簡単な見分け方としてはまず値段。その手間分やはり少し高い。さらに語学力次第だけれど、そのアイテムやお店について色々聞いてみて、1聞いて3以上返ってくるようなら、それほど思い入れの強いお店ということ。そんな作り手や売り手は、ぜひ応援したい。

体験をKindleにして出版した

心が動く体験をすると書かずにはいられないという、ライターならではの職業病が発症し、ノマド中に突然Kindleを出すことを思いついた。

バリ島で執筆から出版にこぎつけたのは、電子書籍「ひとりでできる!ホントに初心者のための『ゆるサステナ旅』」。のちに、ペーパーバッグとしても出版した。旅の本なので、やはりペーパーバッグにしておきたかった。ぜひ旅のお供にしてもらえると嬉しいな、と思って。

本でお伝えしていることは、実はサステナブルに対する社会的見解ではない。もちろん少しは触れているものの、本質はそこではない。
もっと私たちの日常に密接した考え方と、あり方について。普段から自然に沿った生き方を「軸」としていると、そのあり方でする旅はすべてがサステナ旅になるんだよ、というのがメインメッセージだ。

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旅に出るとき、日常からの息抜きに徹するのももちろんいい。

でも、その場所や人がいいなと思ったり好きになったなら、ぜひ一歩先の応援の気持ちで旅してみて欲しい。だってあなたもまた行きたいでしょう!そしてそのとき、その国の人たちに引き続き笑顔でハッピーで、好きになったのと同じ美しい場所として迎えて欲しいじゃない?笑

そんな風に「身近な人や場所から大切にする」くらいのゆるさで、サステナブルに旅してみない?

※インドネシア人、バリ島民以外を指して、わかりやすく外国人と表現。それ以外の意図はありません
※本文中にあるリンク先の記事は、筆者が執筆したものです

#私のこだわり旅

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m i a*旅する自然派ライター|エッセイスト
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