シンガポールとグルカ兵
シンガポールとグルカ兵の関係の始まりは、1815年のグルカ兵によるイギリス軍参加に遡ります。その後、1932年に最初のグルカ兵がマレー半島に到着。第二次世界大戦時にはマレーで日本軍と戦い、多くの犠牲を出しました。
1949年、マレー連合の警備部隊としてグルカ大隊が編成。1965年のシンガポール独立後も、グルカ兵の多くがシンガポール軍で勤務を続けます。
現在、約2,000人規模のグルカ兵がシンガポール軍の精鋭部隊として政要警護や重要施設警備といった重要ミッションに従事。卓越した戦闘力と高い忠誠心が評価されています。また、若手軍人の教育訓練の面でも重要な役割を果たしています。
200年以上に及ぶ両者の深い歴史的絆が、現在の強固な信頼関係の基盤となっています。シンガポールにとって、グルカ兵は安全保障上不可欠な存在といえます。
以上、これまでの全要素を含めてまとめさせていただきました。いかがでしょうか。
シンガポールに駐留しているグルカ兵の詳細については、国防上の機密性が高いため公表されている情報は限られています。
ただし、これまでの報道や調査などから判明している主な点は以下の通りです。
・人数は約2,000人と推定されている
・シンガポール軍の精鋭「グルカ駐在部隊」に所属
・主に大統領府をはじめ重要施設の警備に当たる
・要人のボディーガードも担当
・空港や港の警備を補助することもある
・反テロ対策訓練や防衛演習を助ける役割も果たす
このほか、報酬や待遇、部隊の構成等の人事面の詳細も不明な点が多いのが実情です。
ただし、グルカ兵の活躍ぶりから判断して、シンガポール軍の中で相当に高い地位と信頼を与えられていると考えられます。
3.世界のグルカ兵
イギリスでは名誉職としてグルカ連隊が王室警備を務めています。インド軍のグルカ連隊も精鋭部隊として知られています。
ブルネイやカタールの王室警備隊はグルカ兵で構成されています。マレーシアでもグルカ独立大隊が存在し、要人警護等に当たっています。
GCC各国でもグルカ兵による警備部隊が利用されている他、シンガポールや香港、オーストラリアの警察でも実績があります。
4.グルカ兵部隊の典型的な構成
グルカ兵の隊は、イギリス陸軍の他の連隊と同様に、以下の構成になっています。
大隊:約1,000人の兵士で構成される最大の単位。
中隊:約100人の兵士で構成される。
小隊:約30人の兵士で構成される。
各隊には、それぞれ指揮官がいます。大隊の指揮官は中佐、中隊の指揮官は少佐、小隊の指揮官は尉官が務めます。
グルカ兵の隊は、以下の兵種で構成されています。
歩兵:最も一般的な兵種。小銃や機関銃などの武器を使って戦います。
機関銃手:機関銃を操作して敵を制圧します。
擲弾兵:手榴弾やロケットランチャーなどの爆発物を用いて戦います。
狙撃兵:長距離から敵を射撃します。
衛生兵:負傷した兵士の治療を行います。
工兵:地雷や爆弾の処理、橋や道路の建設などを行います。
グルカ兵は、これらの兵種が協力して戦います。
グルカ兵の隊には、以下の特徴があります。
強い士気:グルカ兵は、祖国への愛と軍隊への誇りを持ち、強い士気で戦います。
優れた戦闘能力:グルカ兵は、厳しい訓練を受けており、優れた戦闘能力を持っています。
高い山岳戦能力:グルカ兵は、山岳地帯での戦闘に慣れています。
白兵戦能力:グルカ兵は、ナイフやククリと呼ばれる短刀を使った白兵戦に優れています。
これらの特徴により、グルカ兵は世界中の軍隊で高く評価されています。
5.シンガポール政府が雇用する外国人
シンガポールがグルカ兵以外に雇用していると言われる外国人傭兵について、公開されている情報をもとに御説明します。
(1)実態
・イスラエルの元特殊部隊員
1990年代以降、少なくとも数百人規模で雇用したとされる。VIP警護や要所防衛が役割だが、詳細は不明。
・米国の退役 Navy SEALs
身元秘匿条件で雇用し、対テロ訓練のインストラクターを担当させているという情報がある。
・英国の SAS 出身の傭兵
シンガポール国内の複数の動きからその存在を推測する見方があるが定かではない。
・フィリピンからのガードマン採用
2000年代に入り、多数の警備員を雇用していることが判明している。
以上のとおり、グルカ兵以外にも様々な外国人人材を警備目的で利用している形跡が伺えますが、詳細は不透明な部分が大きいのが実態です。
(2)理由
シンガポールが外国人傭兵を積極的に雇用する理由としては、以下の点が考えられます。
・小国シンガポールに高度な専門性を持つ人材が不足している
・国内だけの視点や訓練では安全保障力に限界がある
・言語能力や文化的知見の多様性が必要不可欠だから
・実戦経験豊富な外国人からの指導が重要だから
・最新の軍事技術や知識を取り入れる必要があるため
このように、小規模国家のデメリットを補完し、安全保障力を高める意図が外国人雇用の大きな理由と考えられます。
グルカ兵を初めとして、シンガポールは多彩な外国人才能を国防に活用していると言えそうです。
(3)スキャンダル
シンガポールの外国人傭兵雇用をめぐる2004年のオーストラリアとのスキャンダル
・発端は在シンガポールのオーストラリア高弁事務所が作成した内部報告書
・これにはシンガポール軍がイスラエル人傭兵から訓練を受けている実態が記載
・この機密報告書が何らかの経路でオーストラリアメディアにリーク
・存在自体公式には否定していた外国傭兵の関与が一挙に暴露
・シンガポール政府は大使を通じオーストラリア側に強く抗議
・報告書自体が問題視され、作成関係者の処分要求も
・最終的には両国政府間で長期にわたる緊張緩和努力が行われる
・表向きは関係修復したものの、現在もシンガポールの政治的センシティビティを残す結果となる
以上、一連の経緯を総括致しました。