その大変さがよいと思う
この画像は、
半紙で折る 折形歳時記(折形デザイン研究所 小澤實著)
の中で
十月 実と種を包む
に掲載されている折形です。
「こぼるゝ物」を包むというテーマで折られているものです。
冠婚葬祭の儀礼では、
ほぼ必ずお餅やお赤飯が用意されいた「時代」を、
わたくしはよく知っていますが、
それらに添えられる「胡麻塩」や「黄粉」は、
既に小さなプラ系の袋に収められていました。
黄粉や胡麻塩が和紙を折って作られた折形に収まって、
実際に供されているのを見たことはありません。
ずいぶんと大人になってから、折形を知り、
その本の中で「以前の日本ではこうでした」という昔話として知ったこと。
お膳なら、
例えばお手塩にいれてそこに置かれているだろう。
お持ち帰り用だったのか?
もしくは、ご近所さんへのお配り用で?
てなことを、この「こぼるゝもの」折形についての箇所を読む度に、
毎度毎度…思う。
常に同じ思考回路を辿ってしまうのも不思議だけど。
ここでも書いたことあるかもしれません。
読み返す度に、いいなと思うのだ。
仕度するのは大変だっただろうけど。
その大変さがよい。
なぜか…懐かしさを伴う憬れの情景でもあります。
そして現代の私は、この折形に文香を包んで遊印を捺す。
下の画像は折形を展開したもの。
半紙はふた重にして、少ししっかり感をだしてみました。
向かって右側の「ヤマハゼ」遊印は半紙の裏側から捺して陰翳をだしたつもり。
機嫌よくいきましょ
藤井あき乃