ご利益ブーム?!に何を想う
明治神宮、成田山新勝寺と次いで、初詣の参詣者数ランキング全国3位を誇る川崎大師・平間寺(へいげんじ)。この超有名寺院では、今年の5月の一ヶ月間、10年に1度の大開帳が奉修されていた。
この大開帳の期間限定で、特別に授与されていたのが、「赤札」と呼ばれる護符である。
筆者の寺も川崎大師・平間寺と同市内に位置するので、その熱狂は耳に入ってきた。実際に赤札をゲットすべく並んできた、と武勇伝(?)を語って聞かせて下さる方もチラホラいて、そうした話を聞くにつけ、大変な賑わいが想像できた。
こうした新聞の記事↓や、
個人ブログも多数掲載されているので、その様子はつぶさに窺い知ることができる。
これらニュースに触れるにつけ、「せっかくだから自分も霊験にあやかってみたい」と思ったり、「物好きな方もいるもんだ」と思ったり、「限定品に殺到する集団心理をうまくついたマーケティングだな」と思うなど、人それぞれの感じ方があるだろう。
筆者個人的には「赤札」を特に手に入れないとは思わないのだが、きっと何時間もかけて並んだ方にとっては、お札そのものもさておき「並んだ」という体験自体が、深く心に残るものなのだろうなと想像する。
「あぁ前回並んだのはもう10年前か」とか、「あの時はおじいちゃんと並んだけれど、そのあとする亡くなっちゃったのよね」とか。後から振り返った時に、自分史の1ページに刻まれているのだろうことは想像に難くないからだ。
こう考えるとただのご利益ブームと断ずるのはナンセンスで、○年に1度の大開帳、といった類の行事には、市井の人々の人生が織り込まれているのだなと思い知るのだ。
Text by 中島 光信(僧侶)
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