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使えるキャリア理論 その3 ABC理論
管理職でありキャリアコンサルタントである私が独断と偏見で選んだ使えるキャリア理論(の一部分の美味しいところ)をご紹介します。
ABC理論とは
ABC理論とは、以下の頭文字を取った理論の名称です。
A: Activating Event; 実際に起こった出来事
B: Belief; 思い込みや信念、固定観念
C: Consequence; 結果として生じる感情
キャリア理論(というより、キャリアコンサルタント)が基礎としている心理学の分野の理論です。
提唱者は Albert Ellisで、論理療法(Rational Therapy)の中のひとつの理論です。
シンプルながらも、悩んでいる人との対話の際に非常に有用な理論で、ぜひ覚えておくといい知識です。
簡単に言うと、「考え方を変えましょう」という理論
この理論を実践的な一言で説明すると「考え方を変えましょう」となります。
A;出来事 は事実として存在しますが、その事実をどのように認知するかは、B;思い込み、信念、固定観点に依存しています。AがBを通過した結果(C)として生じる感情はB次第ということを説明しています。
ある出来事に直面した時、「~~ねばならない」という思い込みに囚われ、結果としてネガティブな感情になってしまい悩んでしまったり、前向きになれなくなってしまったりします。
例えば、仕事に失敗した(出来事)ときに、仕事はすべて失敗してはならない、成功させねばならない、という思い込みがあると、自分には能力がない、ダメな奴だ、という感情を抱いてしまいます。
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Beliefの外在化(言語化)を支援する
上のように図式化するといたってシンプルな話ですが、いざ現実になるとそう簡単ではありません。なぜなら、人は、Beliefを自分で意識していないからです。思い込みや固定観念は、無意識下にあるもので自分がそういった考えを持っていることを普段から意識していないのです。
だから、なかなか悩みの原因に到達できませんし、ましてや悩みを取り払うことが難しいのです。
そこで、上司や同僚の出番です。
Beliefの部分を言語化する手助けをしてあげる対話ができる支援です。「仕事に失敗するのはダメなことだって考えているんだね」とか「失敗って、◯◯さんにとってどういう意味に映っているんだろうね」といったような問いかけによって、Beliefを言語化していきます。
大事なのは、見えるようにすること(文字にすること)です。これを外在化といいますが、人は外在化することで冷静に物事に向き合いやすくなります。
外在化したのちに、反論する
外在化して、自分の思い込みに霊性に向き合う準備ができたあとには、それに反論することで考え方を変えます。
反論する際のポイントは以下の3つです。
現実的であるのか?
合理的であるのか?
実利的であるのか?
上に書いた例(仕事はすべて失敗してはならない)に対しては、現実的であるのか?の観点で反論できます。
たとえば、「あのスティーブ・ジョブズですら失敗して会社を追い出された」、「ユニクロの柳井正も”1勝9敗”と言っている」、「つまり、世界中から評価されている偉大な経営者ですら失敗するんだ」 と反論できます。
これによって、仕事のすべてが成功するわけではない、といった考え方に変えることができます。
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