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歩みを止めないからこそ、最終的に何かが生まれる(SLOW|仕事の減らし方――「本当に大切なこと」に頭を使うための3つのヒント)
僕が学生だった頃、タイムマシーン3号というお笑い芸人がとても好きでした。
爆笑オンエアバトルというお笑い番組をよく観ていて、そこで圧倒的な強さを誇っていたのがタイムマシーン3号でした。
今ではYouTubeチャンネルが大人気で、毎日観ています(僕にとっては、「観ながら◯◯をする」というながら作業に適している動画で、耳に入れた時に雑音にならない感じがとても良いです)。
動画の中で、2人のこんな会話がありました。
「ネタづくりで集まって、何も生み出さないでご飯だけ食って解散する・・・そんな日が何度も続いた・・・結局、オンバトの直前になって徹夜で仕上げるなんて日常茶飯事だった」と。
以下の記事にも、こう書かれていました。
ネタはお2人で作られているんですか?
【山本】ファミレスで「あーでもない、こーでもない」ってやりながら、2人で作ってます。お互いなんとなくのアイディアは持ち寄って、どんどん2人でボケを足して、展開を作っていく感じですね。作家さんがいれば作家さんを通してやり取りすることもあるのかもしれませんが、それもないので本当に2人っきりですね。
【関】その分話は早いですよね。お互い、タイムマシーン3号という「像」が出来上がっているので、「我々はこんなのだよね」っていうのが共有できているから。
【山本】ただ、まぁ時間はかかりますけどね。できるだけ以前にやったネタとは別なことをやりたいなと思っているので、設定を決めるのに4、5時間かかったりもしますから。
【関】もちろん空振りの日もあって、タンドリーチキンだけ食べて帰るなんて日もあります。ジョナサンのタンドリーチキンがおいしくて、2年前くらいから大盛りができるようになったんですよ。これ、太字で書いておいてください。
あーでもない、こーでもない・・・「なんか無駄な時間を過ごしてるな」って思ってしまうようなこういう時間が、後に何かを生み出す重要なピースになったりします。
これは僕も、学生時代に経験してきました。
建築学科だったので、設計課題に取り組む時間が多くありました。
自分のアイデアを明文化して形にしていくって、僕はとても苦手だったので、苦行でしかありませんでした。
設計課題の授業では毎回『エスキス』という時間があって、設計の初期段階でアイデアをスケッチや図面に落とし込み、教員や講師と議論しながらブラッシュアップする作業をやっていたんですけど、この時間が本当に嫌でした・・・「何も思いつかない」「何も前に進まない」という状態が続くことがあって、自分のできなさを痛感する日々でした。
ただ、締切は訪れます・・・少しずつ近づく締切が僕の脳を解放していき、最終的には何かを生み出すわけです(言い方を雑にすると、強引に仕上げる感じです)。
そんな日々を過ごす中で、こう気づいたんです。
「最終的に何かが生み出される時って、自分でめっちゃ頭を回転させた時だな・・・何も思いつかなくても、何も前に進まなくても、何も生み出せなくても、エスキスの時間で頭をフル回転させることは無駄じゃない」と。
チーム課題の時なんて、集まって「よし、今日こそやるぞ!」とみんなで意気込んでも、あーだこーだやって夜になり、何も進まずに「今日は解散!」ってなる日が何度もありました。
それでも最後は、みんなで一つのものを仕上げていくんです。
最終的に一つのものを仕上げられる時って、チームのみんなが同じ認識を持ててる時で、それは「あーでもない、こーでもない」と互いの意見を出し合いながらコミュニケーションを取った過程があるからこそ、最後には「これで行こう!」とみんなが合意した上で決められるんですよね。
チームでの取り組みもそうだし、個人の取り組みもそう。
過ごしてみて「なんの時間だったんだろう」と思ってしまうような時間になったとしても、とにかく頭を回転させて考えまくる・・・そんな時間が、最終的に何かを生み出すことに繋がる。
何も生み出せないこと、何も進んでいないことに焦らず、自分の頭を使って点を増やしていけば、最終的に「この点と点が繋がって線になる、線と線が繋がって面になる、面と面が繋がって立体になる」という感じで、トントンと仕上がっていく。
「この点が何になるんだろう」と思ったとしても、点を増やし続けることで最終的に何かが生まれていくので、点を増やし続けることを止めないことが大事(最終的に使わない点は出てきますけど、その点はきっと、他の何かに生かされます)。
すぐに成果が出なくても大丈夫・・・焦らずに自分の頭で考え続けて、動き続けて、何かが生まれてくるのを待ちましょう。
大切なのは、歩みを止めないこと。
『SLOW|仕事の減らし方――「本当に大切なこと」に頭を使うための3つのヒント』という本には、以下のような内容が書かれていました。
1966年の夏、ジョン・マクフィーは裏庭にあるピクニックテーブルに寝転び、トネリコの間を見上げていた。
すでにライターとしての実績はあった。なにも初心者というわけじゃない。しかし今度書こうとしている記事は、今までにない難易度だった。どうにも書く糸口をつかめず、ピクニックテーブルの上でじっと固まっていたのだ。
8か月かけて下調べをした。原稿を埋めるのに充分な素材が集まったはずだった。自宅とパインバレンズのあいだを数えきれないほど往復し、しょっちゅう寝袋を持参して泊まりこみ、関連する本を読みあさり、あらゆる人に話を聞いた。
それなのに、いざ書きだそうとして、彼は怖じ気づいてしまった。不安を感じるのは、とくに不思議なことでない。マクフィーはこう語る。
「過去の成功は不安を減じてくれない。以前いい記事を書けたとしても、次が書けるかどうかは別の話だ」
そんなわけで彼はピクニックテーブルに寝転び、トネリコの梢を見上げながら、雑然とした素材やエピソードをどうやって記事にすべきか考えあぐねていた。
何もしないまま2週間がすぎた頃、ふいにひとつの名前が浮かび上がってきた。フレッド・ブラウンだ。フレッド・ブラウンは、調査の初期に知り合った72歳の男性だ。パインバレンズの森の奥に、堀っ建て小屋を建てて暮らしていた。マクフィーは何度もそこを訪れ、一緒に森を散策したものだった。
その日、ピクニックテーブルの上で、ブラウンの名前は啓示のように響いた。考えてみれば、ブラウンは森で起こったできごとの大半に関わっている。彼をストーリーの中心に据え、その冒険から派生する形でほかのトピックを紹介すれば、うまく芯の通った記事になるはずだ。
そのひらめきから1年以上をかけて、マクフィーは記事を完成させた。眼鏡屋の2階に質素なオフィスを借り、向かいのマッサージ店を時おり眺めながら執筆に跡んだ。完成した原稿は単語数にして3万を超える大作となり、前後編に分けてニューヨーカー誌に掲載された。今も語り継がれる伝説の記事で、マクフィーの数ある作品のなかでも根強い人気を誇っている。
もしも急いで書きはじめていたら、平凡な記事に終わっていたかもしれない。ほかのすべてを忘れてじっと横になり、これだという答えが見つかるまで待ったからこそ、傑作を生みだすことができたのだ。
本日は以上です。
今回も読んでいただき、本当にありがとうございました。
これからも、「仕事でも私生活でも心をラクにする(ワークライフハック)」をテーマに、心をラクにするキッカケになり得ることを発信し続けます。
「心をラクに」というのは、「快く安らかに過ごしている状態」という意味で使っている言葉であり、「サボる」という意味ではありません(快く安らかに過ごすために、時にはサボる時も大切ですけどね)。
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