あくびを手で覆う
学校で習ったことを思い出せる?
そう聞かれたら、あくびを手で覆うこと
これが、いつも頭に浮かぶ。
それは、国語の授業の先生が、最初の授業で言ったことだった。
「まず最初に言っておくけれど、僕はあくびを目の前でやられると非常に嫌な気持ちになります。一生懸命授業しているのに、話しているのに、目の前でくちをぽかんとあけられたら、どんな気持ちになりますか?嫌でしょ?」
教室の中は、それこそぽかーんもしていた。先生はまだ話を続けた。
「でも、眠くなることはあるし、あくび自体が悪いことではありません。だから、ひとつだけお願いを聞いてください。あくびをするときは、口を覆うこと。これだけは、ぼくの授業中は、守ってください。」
その後の授業では、あくびを口で覆うことを忘れて、なんども先生の雷が落ちていた。
ただ、先生の言うことは、確かにわかる気がした。
自分が大勢の前で話していて、何人も欠伸してるのをみると、あなたには興味ないよ、眠いんだよって、その仕草をみるだけで、感じることもあった。
大人になってから、会社の大きな打ち合わせで、大きなあくびをしているひとをみると、確かにちょっと失礼だと思った。
学校で学んだたくさんの年号や漢字や数式は、きっと大切だったんだろうけれど、あくびを口で覆うことは、人とのコミュニケーションを取る上で、とても役に立っている。