「音楽とドライブ」が遠ざかる日々。
ドライブと思い出
ドライブをすると、思い出の音楽を、思い出すことはありますか?
私はあります。
小さい頃に、両親はよくドライブに連れて行ってくれました。
その時の情景や音楽は今もふとした時に思い出します。
ドライブしながら、よく両親が好きな音楽や、お気に入りのラジオ番組を聴くことが、子供ながらに楽しみでした。
音楽だと、父親が大好きなエリッククラプトン、ボズスキャッグス、カーペンターズ、ビリージョエル。今でも歌える曲は、この時に何度も車の中で聞いた楽曲ばかりです。
よく聴いていたアルバム、そして思い出たち
今振り返ってみると、この5枚のアルバムを何度も車で繰り返し聴いていました。
エリッククラプトンのアンプラグドをかければ、父親はいろんなエピソードを楽しそうにいつも語っていたものでした。
例えば、「レイラは、本当は激しいロックの曲だけど、このアルバムでは、アコースティックの演奏で、また違った味わいが出ているんだ」とか、「「Tears in heaven」は、亡くなった息子の曲を歌っているんだよ」とか。
同じ話を何度もするんだけど、その度に嬉しそうな顔をしているので、こちらも思わず嬉しそうな顔で何度も同じ話を聴いていました。(大人になってエリッククラプトンのコンサートに行って、レイラのアンプラグドを聴けたときは、いろいろな想いが胸にこみ上げてきました。まるで昨日のことのようです。)
思い出があるから生きて行ける
今はスマホの中で、本当にたくさんのエンターテイメントがあります。
そこでは、人間が一生かかっても、消化し切れないほどのエンターテイメントが、消費されることを心待ちにしています。
もちろん、いい映画は、いつまで経っても忘れない、大切な思い出になるかもしれません。
けれども、よくよく振り返ってみると、映画館に友達と観に行った映画とか、1人でふらっと観に行った映画が、印象に残っているって言うことはよくあったりもします。
以前におばあちゃんから、「思い出あるから、生きてゆけるのよ」と言う話を聞いて、そのことを記事にしました。
今よくよく考えると、無駄に思えている、経済的にはメリットがないことが、結構良い思い出になっていたりして、つくづく、計画通りに行かない人生にこそ面白味があると認めざるを得ません。
ドライブ・ミュージックが遠ざかる
竹内まりやさんの、ライブ盤がとても好きで、ドライブする時には、なんだかんだ、一回は聴いています。
何度も繰り返し聴いていると、歌詞の意味がもっとわかるようになったり、いろいろな思い出を行ったり来たりしています。
今は車を買わない若い世代が増えていると言います。
それはそうでしょう。車には維持費もかかるし、ガソリン代もかかるし、掃除もしなければいけない。
電車で移動できるなら、わざわざ車を買う必要なんてない。それは本当によくわかります。経済的な合理性から見たら、不必要なものでしょう。
ただ、そんな経済的な合理性を追求した結果、無くなったしまった物も、沢山あるのかもしれません。
ドライブしながら聴く音楽や、そこでの会話。窓から見えたあの景色。
そんな思い出たちも、どこかに行ってしまっているのかもしれません。
もちろん、それぞれの人によって、思い出の作り方は無限大です。
車がすべてではありません。ただ、思い出を作る魔法の時間が、自分にとっては、ドライブしていた「あの時間」だったのです。
思い出づくりをしながら、思い出しながら、日々を過ごしてゆきたいものです。