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苦境に立たされた花屋が無人販売を始めたら売り上げが上がった話。#WORKING FOREVER26

東京は表参道の、路面販売のお花屋さんは緊急事態宣言期間中、無人販売をしたことがあるみたいなんです。いわゆる「高齢者」とされる方々が運営されている花屋さんなので接客が許されなかったみたいなんですね。

その花屋さんは「エチオピアローズプロジェクト」というのですが、名前からお判りの通り「ローズ」をメインに販売しています。そこで売られているバラが本当に素晴らしく美しいんです。生命力であふれていて、でも繊細さもあって。同じ花の種類でもどれ一つとして被らない。SMAP の曲で「世界に一つだけの花」っていう歌があったと思うのですが、まさにそれを思わせるような花屋さんなんです。私はもう2年ほど、その花屋で花を買っています。

コロナウイルスの存在が騒がれ始めてから緊急事態宣言が発令される直前までの期間、イベント会場や撮影用の「卸し」の売り上げはやっぱり下がったみたいです。でも、個人に対しては花の売り上げは上がり、より多くの人々の日常生活に花が必要とされていると身をもって実感したそうなんです。

さて、緊急事態宣言が発令されてからは接客はできなくなりました。しかし花はコロナ禍とはいえ生産されているし、売られなかったものは廃棄されたりもしている。そして一方で個人単位では花の需要は増している。そこで赤字覚悟で「無人販売」を決断されたようです。

購買者は好きなブーケを選び、その代金を籠に入れる。

緊急事態宣言期間は、原始的で無防備ですが、そういうスタイルでの販売をしました。

出展日を週末と火曜日のみの3日間とし、前日には花を仕入れれて夜通しブーケを作りました。おつりの心配をしなくても良いように、3つの価格設定で展開。出展日は売り場を整備しに、車にたくさんのブーケを積んで早朝からお店へ。。。そんな日々を過ごしていました。「赤字になる」という恐怖心よりも使命感に駆られてブーケを作りつづけました。その結果、どうでしょう。ブーケの数に対して、籠に入れられていた売り上げは本来あるべき額以上の金額だったようです。

購買者は、

「提示価格ピッタリないから多めに入れるけど、おつりを籠からとるのはちょっと忍びないから、そのままでいいや。」と思ったのか。

それとも、花屋や生産者に思いを馳せて応援のつもりで敢えて多く入れたのか。

その真相はだれにもわかりません。しかし、前者であれ後者であれ、当事者にとってこの想定外の結果は心の栄養剤となり、経済面でも支えになりました。

1,000円のものに対して1,000円払う。これは当たり前だし、常識的なこと。むしろそれが「当たり前」とされない国や地域があるだけに、すでに素晴らしいことです。だけどそこに「応援や感謝の気持ち」の温かさや「まあ、少し多く払ってもいいか」のゆとりがあったことで、本来以上に大きくなって返ってきました。

自分で自分を満たすことって大切なことです。一方で人はだれかや何かに対して貢献したい、必要とされたい、という気持ちもあります。その対象が具体的な人や事象なのか、それともあいまいなのかは人それぞれだけれど、そういう温かい心やゆとりがきっと未来の世の中をもっと明るく照らすんじゃないかなって思います。私たちは「消費」する立場であり、同時に「生み出す」立場でもあります。だからこそ、日常生活には大小さまざまなアクションや決断で溢れています。迷ったときに「そこに愛はあるのか?」っていう判断の軸、今後もっと大切になっていくと思うなあ。

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