Four Loads ~従業員に課される4つの負荷~
従業員は多くの負荷(Load)に課されていると思います。これらを自覚することで、改善につなげることができます。4つにまとめてみました。
Four Loads
Four Loadsとは、従業員に課される4つの負荷を示します。マトリックスとして分類できます。
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軸について説明します。
軸1
オンデマンドとは、必要に応じて課すことです
エンドレスとは、習慣やルールなど恒久的に課すことです
軸2
定量的か、定性的かで分けています
1: ワークロード(Workload)
作業量。ノルマ。
このティッシュを100個配れ、というのはワークロードとして100個分課されていると言えます。
オンデマンドで、定量的なものです。たとえば繁忙期だったり欠員があったりすると増えますし、大きなイベント等により集客がいつもより少ない場合は減るでしょう。
2: ペイロード(Payload)
消費量。リソース。
payloadの原意は「対価を得られる荷物」です。ここでは主に時間を指します。時間は通常、資産と捉えられていて、厳密に管理されがちです。たとえば勤務時間には所定労働時間という下限がありますが、これは事実上下限分の消費を課されています。
エンドレスで、定量的です。たとえば所定労働時間の概念は、従業員である限りは課されます。
3: ゴールロード(Goalload)
目標量。ミッション。
目標、ミッション、KPIなど色々な言い方がありますが、課されたゴールを指します。作業量や消費量といった負荷とは関係なしに、とにかくこのゴールを達成せよ、と求めます。やり方(特に期限)も設定されることも多いです。
オンデマンドで、定性的なものです。まず達成したらおわりなのでオンデマンドです。次に、ゴールは本質的に定性的なものです。ビジネスでは定量が好まれて、無理やり定量化されがちですが、だからといってその数字を満たしさえすれば完璧かというと、そんなことはありません。ゴールには色んな人の意思が絡んでおり、定量化された表面だけではカバーしきれていません。
4: バリューロード(Valueload)
価値(観)量。バリュー。
バリュー、ビジョン、カルチャーなどこれも色んな言い方がありますが、課された価値観を指します。昨今はカルチャーマッチ(企業文化を言語化して明示的にすり合わせる)もよく見られますが、言語化されているとは限りません。そもそも日本はハイコンテクストであり、言語化をきらう場面も少なくありません。
※よくある例をいくつか挙げます――「何?そこまで言わないと理解できないと思ってるわけ?」、「何勝手なこと言ってるのそんな単純じゃないよ」、「新人のくせに何言ってんの」
エンドレスで、定性的なものです。ペイロードと同様、従業員である限りは課され続けます。
応用
Four Loadsとして言語化されたものを捉えたら、次は応用ができます。いくつか例を出します。
ペイロードをなくす
重要なのは日々の作業量(ワークロード)の消化と、中長期的なミッション(ゴールロード)の達成のはずです。なぜか我々は時間などリソースの消費量(ペイロード)に制約をかけがちですが、本質的ではありません。
では、思い切ってなくしてみてはどうでしょうか。ワークロードやゴールロードを消化できるなら、別に1日8時間や週40時間でなくても良いではないですか。
こんなこともわからない人は多いですが、今回 Four Loads という形ではっきりと存在を示したので、これでもう少し対処しやすくなるはずです。ペイロードに手を付ければいい、とわかりやすいからです。
ただし、長時間労働による搾取につながるので、使いすぎをモニタリングする必要はあります。
ゴールロードを定量的なものと捉える
ゴールロードを、ワークロードに帰着させることができます。
定性的な目標を抱え続けるのは精神的に負荷が高いですが、定量的なワークロードであれば、単にその数字を満たすだけ、そのためにブレイクダウンするだけなので(大変かもしれませんが)精神的負荷は抑えられます。
メンタルが強い人は、このテクニックをよく使っています。定性的なうんぬんの理解を放棄して「数字を達成すればいいんだろ?」「くだらねえしよくわからねえけどこれ達成したら次につながるからさっさとやるか」としているわけです。
バリューロードを定量化する
定性的な事柄は従いづらく、実際バリューロードを飼いならしてもらうのはどの企業も手を焼いているでしょう。なので実質的には「できる人」と出会えるまでの運ゲーと課しがちで、出会ったときに逃さない or 合わなかった人材を確実に断るために採用コストをかけがちです。それくらいしかできないのです。
では、バリューロードを定量化するのは、どうでしょう。
バリューとして「Be Open(オープンであれ)」を掲げるとします。これを定量化すると、たとえば以下のようになります。
1: 日々の作業、検討、メモは「全従業員に見える」ノート上で行う。全従業員、週報と月報はここで書かねばならない
2: 半期ごとの業績評価に関する各種打ち合わせは、全従業員に見える形でアーカイブと文字起こしを公開する。全従業員は最低限、半期ごとに「上長との分」「メンバーとの分」で計2つ以上公開しなければならない
これらの作業を日々こなすことで、Be Openとはどういうことかを実感できるでしょう。単にバリューロードとして課すよりも、よほど定着しやすいはずです。
採用時においても、このような作業がありますよと提示することで、合わない人を端的に遠ざけることができます。