組織内全員で書いて議論する 「オープン・トピックライティング」

トピックライティングについては以下を見てください。

本記事では、このトピックライティングを組織内に開放した手法を扱います。


オープン・トピックライティング

オープン・トピックライティング(Open Topic Writing, 以下OTWと略します)とは、トピックライティングを組織内全員で行えるようにしたものを指します。

※主に会社(つまりは社内)を想定しますが、会社以外の組織でも使えます。規模としては数百人以上を想定しています。数千や数万も想定します。以降では会社を想定して書きます。

全員がアクセスする場を一つ用意して、誰でもいつでもトピックを設定したり、既存のトピックにコメントを書き込んだりできるようにします。

オープンな場ですので、アクセス権の設定はありません。部門内限定公開といった機能もありません。これがしたいなら、部門用のOTWツールを立ち上げてください。


メリット

  • 会社に関する議論が活性化します

    • 誰でも読み書きできるため、「全社レベルの課題」など全社という視座に立った議論ができます

    • 通常、この視座に立てるのは経営者だけですが、OTWでは全社員に開かれています

  • 組織内の健全性を上げることができます

    • 議論と意思決定が見えて透明性があるためです

    • 情報を追うことができますし、見えているので閉鎖的な政治もしづらくなります


OTW実現のポイント

3点ほど整理します。


1: ネットワークをつくる

OTWでは、似たトピックをまとめたり、トピック同士のつながりを表現するべきです。具体的には、トピックからトピックに気軽にリンクを張れる必要があります。

現状これをサポートするツールは Cosense(Scrapbox) くらいでしょう。

このように表現すると、OTW全体はネットワーク構造になります。私たちはネットワークをあちこち辿ることで、トピックとその関連を辿っていけます。

人間関係や記憶やインターネットなど、ネットワーク構造は日常的に使いやすく親和性のある構造であり、それをOTWでも採用します。議論は再利用するものなので、あとから読み返したり生かせたりしないと広がりません。従来のカテゴリやリストやタグ的な整理だと限度があります。この限界を越えられるのは、現状ネットワークだけです。


2: 新しいツールが必要

OTWは既存ツールでも実現できないことはないのですが、厳しいです。

既存ツールとして以下があります。

  • 1: Miroのような無限キャンバス

  • 2: Scrapboxのようなネットワーク型のWiki

  • 3: GitHub Issues(Discussion)のような Issues

  • 4: GoogleドキュメントやBox Notesのような1-ドキュメント 1-ファイルでつくれて共同編集できるもの

  • 5: Pol.isのような投票・議論ツール

しかし、全員が使うポテンシャルがないのです。

たとえば従業員2000人の大企業で使う場合、2000人全員が自由に読み書きすることになりますが、そのポテンシャルがないのです。

  • 1: と 2:(無限キャンバスとWiki)については、2000人の同時アクセスに対応していません

  • 3: と 4: (Issuesや共同編集ドキュメント)については、実現可能ではありますが、トピックを繋ぐ仕組みがないため、ネットワークを構築できず収拾がつかなくなります

    • 後述のメンテナでカバーはできます

  • 5:(Pol.is)は、ポテンシャルはありますが、全員誰もが色んなトピックをつくる・それを俯瞰したり探したりという部分が弱いです

ですので、OTW用のツールを新しくつくるのが良いと思います。まだ巷には無いと思うので、ビジネスネタとしてもお役立てください。


3: メンテナも必要

メンテナ(Maintainer)とは、その名のとおりOTWの場をメンテナンスする存在です。

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