あなたの知らないリマインダーがきっとある
リマインダーは忘れていても思い出させてくれる点が頼もしいと思います。
スマホの純正機能やカレンダーの付属機能を思い浮かべますが、他にも色々ありますので紹介します。
知れば知るほど、よりリマインダーに頼りやすくなるでしょう。
最初に用語整理
リマインド
リマインドとは、指定したタイミングで指定した用件を知らせることです。
タイミングや用件は、意外と多様です。
たとえばタイミングは「時間」だけではありませんし、用件も明示的に記載するとは限りません。
リマインダー
リマインダーとは、リマインドを行うためのツールです。
スマホアプリもあれば、目覚まし時計などアナログな道具もあります。
目覚まし時計もリマインダー
目覚まし時計を知らない人はいないと思いますが、これもリマインダーの一種だと本記事では捉えます。
指定タイミングで指定用件を知らせてくれるからです。
タイミング = 設定した時刻
アクション = 音を鳴らす
用件 = 無し
ただし用件は設定されていないので、自分で思い出す必要があります。
能動的なリマインダー
能動的なリマインダーとは、リマインダーから私たちに働きかけてくれるものです。
リマインダーが、能動的に、私たちにリマインドするわけですね。
例を挙げます。
目覚まし時計
キッチンタイマー
30分で設定する=30分後にリマインドする、に等しいです
スマホのリマインダーやアラーム
名前こそ違いますが、アラームもリマインダーの一種とみなせます
カレンダーアプリに備わるリマインダー機能
たとえばOutlookは予定の15分前に通知してくれます
繰り返しになりますが、目覚まし時計など誰でも知っているであろう道具もリマインダーの一種です。
アプリとは違って、物として存在する道具なので以下のメリットがあります。
使い勝手が良い
ただしボタン連打はする
物理的な存在感や愛着がある
一方で、アプリなどデジタルなものは、場所がかさばらない点で優れています。
スマホは大丈夫でしょうが、PCでカレンダーを使っている場合はリマインドのアクションが弱い点には注意が必要です。PCに座っていないと気付かない恐れがあります。
受動的なリマインダー
ここからは馴染みが薄いと思います。
受動的なリマインダーとは、通り道に何かを置いておいたら、次通ったときにそれが目に入って思い出せるという形のリマインダーです。
例を挙げます。
前日のうちに、玄関前にゴミ袋を置いておく
(明日出社前に忘れずゴミ捨てできるはず……)
前日寝る前に、トイレの便器を閉めて、その上に検尿を置いておく
(明日起きてトイレする前に検尿を思い出すはず……)
あとでやらないといけない雑務が2件割り込んできたので、愛用の手帳の今日見ているページに書き足しておく
(よく見てるのでどこかで思い出せるはず……)
受動的なリマインダーのポイントは、自分の通り道を把握することです。玄関など物理的な道に限らず、手帳やアプリなど普段から使っているものも含みます。
すぐに想像できるとおり、能動的なリマインダーほど確実ではありません。せっかく仕込んだのに気付かないこともありますし、気付いた上でスルーしてしまうこともあります。
よく「能動的なリマインダーだけでいいのでは?」との疑問が生じますが、意外とそうでもありません。能動的なリマインダーは仕込むのが面倒だからです。
「家を出るのが大体 7:25 だから、7:20 くらいで「ゴミ捨て!」とリマインドさせるか」みたいなことは、いちいちやってられないでしょう。こういう場合は、ゴミ袋を玄関前に置いた方が早いはずです。
小話: リマインダーの調整
能動的なリマインダーにせよ、受動的なリマインダーにせよ、少しでも自分に合う調整していくことで、より馴染ませることができます。
たとえばiPhoneでアラームを使う場合、ボイスメモで録音した音声を使うことができます。
自分の声をわざわざ使う人は少ないでしょうが、自分が好きな音や声を録音すれば、リマインドが楽しくなります。楽しさは大事です。
受動的なリマインダーに頼る場合、通り道にいつ何を置けば都合が良さそうかを自分で模索していくことになります。答えは自分しか知らないからです。
最初は大変かもしれませんが、使いこなせるようになったら、日常生活のやり忘れがグンと減ります。
ハイブリッドなやり方として、(自宅でリモートワークをするなどですが)通り道や自分が留まる場所にキッチンタイマーをあらかじめ置いておき、思いついたタイミングでセットすることもできます。
たとえば「あとでトイレ掃除しておきたいな」と思ったら、トイレに置いたキッチンタイマーで 75 分後(感覚で良い)とかにセットして開始すればいいのです。75分後に音が鳴るので、「ああ、そうあった、掃除するか」と思い出せます。
もちろん、そのとおりに上手くいくとは限りませんし、気分で「ややっぱりやめよ」となることもよくありますが、何も設定しなかったらおそらく忘れていたはずです。リマインダーを仕込んだことにより、思い出せる率を上げているのです。
思い出す率が上がれば、それだけやろうとしていたことをやれる可能性が高くなります。この積み重ねがQoLを上げます。
そういう意味では、カジュアルにリマインドを仕込むつもりで使い倒すくらいが良いかもしれません。
ロケーションリマインダー
ロケーションリマインダーとは、特定の場所に近づいたら・特定の場所から離れたら知らせてくれるというリマインダーです。
すでにスマホで使っている人もいると思います。
iPhoneの場合、アラームではなく「リマインダー」を使って、位置情報を追加することで使えるようになります。
主な使い道は「その場所でやることを思い出したいとき」、あるいは「この場所から離れた後にやることを思い出したいとき」です。
いずれにせよ、その場所に行く or この場所から離れる前に、事前にリマインダーを設定しておく必要があります。予定をカレンダーに入れる感覚で、必要なときにスッと設定できるようになると馴染むでしょう。
小話: 遊ぶ
リマインダーを使うのに慣れない場合は、お試しで遊んでみるといいかもしれません。
ロケーションリマインダーに限った話ではありませんが、リマインダーは最初使い始めるまでのハードルが高いので、遊びでもいいので試して下げることが重要だったりします。
もし誰かに勧めたい場合も、実際に遊ばせるつもりで使わせると良いと思います。
人間リマインダー
実は人間もリマインダーになりますし、これこそ最も馴染み深いという人も結構多いと思います。
人間リマインダーとは、誰かにあとで知らせてもらうことを期待してお願いや情報共有をすることです。
例を挙げます。
休日の朝、同居人に「午後から買い物行くわ」と話しておく
(もし自分が忘れていても、同居人が教えてくれるはず……)
雑談でチームメンバーに「14時からあの報告会見に行くわ」と話しておく
(14時近づいても忘れていたら、たぶん教えてくれる……)
前日の夜、母に「明日6時に起こしてね!」と頼む
前日の夜、母と父に「明日6時に起こしてね!」と頼む
ホテルのモーニングコール
最も有名なのは人間目覚まし時計でしょうが、やり方は案外多様です。直接頼み込むと確実性は増しますが、相手にうざがられます。会話に散りばめるなど間接的に仕込もうとすると、相手はうざがりませんが、確実性も落ちます。
いずれにせよ、人間なので道具やアプリほど確実ではありません。
この人間リマインダーは、開拓の余地がまだまだ残っていると思います。ホテルのモーニングコールは、人間リマインダーを仕組み化したものと言えますが、人間が絡んでいるとのあたたかみがあります。
私たちも人間なので、なんだかんだあたたかみを求めるところがあると思います。だからこそ能動的・受動的なリマインダーで済ませるのではなく、あえて人間に頼るのだと思います。リマインダーとして最も使われているのは、明らかに人間リマインダーです。
たとえばアプリでSNS的にお互いリマインドし合う世界は面白そうです。友達同士でやるのか、Uberのように「リマインドすることを仕事にした人達」とのマッチングをはかるのか、など。
小話: リマインダーは自分が自分のために使うもの
リマインダーの話をすると、よく「他人を確実に動かすには?」との話題になります。たとえば「ねぼすけを確実に起こすには」などです。
こういう問題はリマインダーでは解決できません。
リマインダーはあくまでも自分が自分のために使うものです。リマインダーを仕込んでみてもダメだったら、じゃあどう仕込めば上手く効くのかを調整します。自分で模索していくものです。
雰囲気リマインダー
雰囲気リマインダーとは、場の空気が知らせてくれる形のリマインダーです。
例を挙げます。
学校の移動教室
時間割を覚えていなくても、教室の雰囲気でわかります
オフィスの自分の席、これを含んだ島
メンバー全員で参加する会議があれば、雰囲気でわかります
店
閉店時間が近づけば、雰囲気でわかります
(さらに近づくと店員による人間リマインドが来ますが)
雰囲気リマインダーは、実は会社員にとっても重要な概念です。なぜなら、大半の会社員はすべてのタスクや予定を自己管理して適切にこなせる能力など無いからです。あるいは、あっても面倒でしないからです。
では、そういう人達が普段どうしているのかというと、雰囲気リマインダーに頼っています。同じ場所に同座していると、良くも悪くも空気(雰囲気)がありますので、それを悟ることで自分の過ごし方を合わせていけます。自己管理せず、空気に身を任せておけばいいわけです。これは楽な過ごし方です。ゆえに人気があります。
リモートワークを苦手とする人は多いですが、その一つは雰囲気リマインダーが機能しなくなったからだと思います。
さて、この雰囲気リマインダーですが、少々特殊であり、自分で用件やタイミングを設定することができません。あくまでも場で勝手に決まっていくタイミングと用件に、ゆるやかに合わせていく形になります。
使用をコントロールしたい場合は、実質的に「どの雰囲気(つまりは場)に参加するか」「いつまで滞在するか」を考えることになります。
場が無い場合は、つくる必要があるでしょう。『仕事術2.0』でも使えそうな道具がいくつかあります。
リズムリマインダー
リズムリマインダーとは、生活リズムをしっかり踏んでおれば、仮に逸れたとしても体が「逸れてるぞ」と教えてくれるという形のリマインダーです。
定期的にこなしたいことや、コツコツ積み上げたいことがある場合、生活リズムに組み込むことで忘れることなく(というより忘れていても思い出せて)こなせるようになります。
逆に「一回限りだけど忘れず知らせてほしい」用途では使えません。あくまでも「今後たぶんずっと続けることになること」をやり忘れそうになったときに、自動的に知らせてほしい、というのをある程度叶えるものです。
ある程度と書いたとおり、アプリや道具ほどの確実性はありません。人間リマインダーよりは強いと思います。
習慣とは違うことに注意してください。習慣は「特定の頻度で欠かさず行うこと」であり、行う日の中でいつやるかまでは定めていません。一方で、リズムリマインダーはリマインダーですからタイミングも定めています。
そういう意味で、上述を言い直すと、次のようになります。
最大の問題は、その「生活リズム」をどうやって手に入れるかということです。これさえ手に入れば、あとは「今後ずっと続けたいこと」を組み込んで微調整していけばいいだけだからです。
が、リマインダーの話題を超えてしまうので、本記事では割愛します。
詳細は以下ページを参照してください。脱線(作業中に別の事が気になってそっちに行ってしまう)の対処としてリズムリマインドを挙げており、手に入れ方にも言及していますが、人はかなり選ぶでしょう。
おわりに
リマインダーの本質を整理した上で、様々なリマインダーが存在することを述べました。
リマインダーという「忘れていても思い出させてくれる」道具は非常に頼もしく、使っていない人は人生損しているのでは、と言えるほど強力だと思います。
その本質は指定したタイミングで指定した用件を知らせる、であり、他にも応用例は考えられると思います。