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「正解通りに進むほど、自分らしさから遠ざかる理由」


決められた正解通りに進むことが、なぜ本当の自分を遠ざけるのか?


ライフキャリアレインボーとは?役割と自分らしさの関係を紐解く

ライフキャリアレインボーは、アメリカの心理学者ドナルド・E・スーパー(Donald E. Super)が1950年代に提唱したキャリア発達理論です。この理論は、人生がさまざまな役割によって構成され、それがキャリア形成や生き方に大きな影響を与えるという考え方に基づいています。

スーパーは、人生の中で人が演じる多様な役割を「レインボー(虹)」に例えました。この虹には、家庭人、職業人、市民、学習者、余暇人、子ども、親などの役割が含まれています。これらの役割は、その時期や状況に応じて優先順位が変わり、人はそれらをバランスよく演じながら成長し、人生を築いていきます。

例えば、街に出れば「市民」として社会のルールやモラルを守ることが求められ、職場では「職業人」として成果を上げる役割が期待されます。一方、家庭では「親」や「パートナー」として愛情を注ぎ、家族を支える役割を果たします。このように、私たちは人生を通して複数の役割を果たしながら、自分自身を表現しています。

しかし、現代社会ではこの「役割」が時に窮屈でプレッシャーを伴うものとなり、「型通り」にこなすことが求められる場面が増えています。それが、「自分らしさ」を強く求める動きの背景にあるのではないでしょうか。このブログでは、「役割」と「自分らしさ」の関係について考察していきます。


役割の負担と競争の増加:現代がもたらす窮屈さ

社会が成熟するにつれ、役割に対する期待や責任が増大し、同時にそれを果たすための競争が激化しています。

特に職場では、規定されたプロセスや方法を忠実に守ることが求められる場面が増え、「型通りでなければならない」というプレッシャーが強くなっています。ノウハウ本の人気が示すように、「この方法が正解」とされるやり方をそのまま実行する風潮が広がり、個々の工夫や自由な発想を抑え込む傾向があります。

こうした環境では、役割がただの「義務」となり、自分自身の価値観や発想を活かす余地が失われることが多くなっています。このことが、ポテンシャルを十分に発揮できない原因にもつながりかねません。


「自分らしさ」を求める背景

「自分らしさ」という言葉がこれほど注目されるのは、役割が窮屈で型にはまっている現状への反動と言えます。役割を果たすこと自体は重要ですが、それと同時に自己表現の場を持ち、自分の方法で役割を全うする自由がなければ、充実感や生きがいが損なわれてしまいます。

自分らしさとは、「自分で考え、自分で決める力」の延長線上にあるものです。この力を発揮し、独自の方法で課題に取り組むことで、満足感や幸福感を得られるのです。役割の意味や目的を理解し、それを自分らしく果たす方法を見つけることは、ただの「わがまま」ではなく、役割を最大限に活かすために必要な姿勢といえるでしょう。


「役割において大事なこと」を見極める

役割を果たすうえで本当に大切なのは、「型通り」にプロセスをこなすことではなく、その役割の「本質」を理解することです。

たとえば、職業人であれば「顧客満足」を追求し、親であれば「家族の安心感」を守ること、マネージャーであれば「チームの成果を引き出すこと」を重視する、といったように、それぞれの役割が持つ本質的な目的に目を向ける必要があります。

この本質を理解し押さえていれば、やり方やプロセスに自分らしさを取り入れることが可能です。それどころか、自分なりの工夫を加えることで、その役割に新しい価値や可能性を生み出すことができるでしょう。


教育における役割:型通りではなく「本当に大事なこと」を教える

この考え方は、教育の場面にも当てはまります。教育において重要なのは、「何が本当に大切か?」を教えたうえで、生徒が「では、どうすれば良いか?」を自ら考える力を育むことです。

型通りの指導ではなく、生徒が自分なりの視点で問題を解決する力を養う教育が必要です。「自分で考え、自分で決める」経験を積むことは、ただ知識を得るだけでは得られない、主体的な人間形成に繋がります。


結論:役割と自分らしさの両立

ライフキャリアレインボーが示すように、人生は多くの役割を演じることで成り立っていますが、その役割が窮屈で型にはまったものであると、自己表現や創造性が失われてしまいます。

役割の本質を理解し、自分らしい方法でその役割を果たすことは、現代社会で必要とされる柔軟で持続可能な生き方の鍵です。また、教育の場においても、型通りではなく本当に大切なことを教え、生徒が自ら考え、行動できる力を育むことが重要です。

今、自分で考え、自分で決めて、物事を進められる役割を多く持つ人は、充実感や達成感を感じやすいのではないでしょうか。その反対に、自分のやり方や意思を反映させる機会が少ない環境では、自分らしさを表現する機会が失われ、「自分らしさ」という感覚を懐かしみ、それを取り戻したいと日々考えるようになるかもしれません。

もしそのように感じる場合には、自分で考え、自分で決めて行動できる役割を、今の生活や仕事の中に少しでも作り出してみることが大切です。例えば、小さなプロジェクトを自ら提案して進めてみる、自分の得意分野で責任を担う場を探すなど、自分らしい力を発揮できるチャンスを積極的に見つけてみましょう。仕事に限らず、市民として街の活動に参加しその機会を創出するなど、自分らしく演じられるステージを見つけ出すこともひとつの方法です。繰り返しになりますが、自分らしさとは、自分で考え決め表現することの延長にあるのですから。

小さな一歩でも、自分の意思や工夫を反映させる役割を持つことで、充実感や達成感が少しずつ戻り、自分らしさを再発見するきっかけになるはずです。その役割が増えれば増えるほど、あなたの人生やキャリアは、より豊かで意義深いものになるでしょう。 このブログが、読者の皆さんが役割やキャリアつくりについて考えるきっかけになれば幸いです。

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