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劇場版モルカーを見てきた
劇場版モルカーを見てきた
手短に言うなら現代日本版のターミネーターだった
序盤から名作映画のパロディが多い
タイヤの軌跡が赤く光る(AKIRA)
荒野でのカーチェイス(MADMAX)
MRのようなナビゲーション表示(ターミネーター)
などなど
遺跡のシーンはほとんどインディー・ジョーンズだった
一番有名なのは大きい石の玉が転がってくるシーンだが、それ以外にも以下のようなパロディシーンがあった
ボタンを踏むと床下に罠がある
色んな物が飛んでくる
ゴーストに追われる
宝箱争奪戦
ちょくちょく挟まる過去作映像、実写映像、そして過去アニメのセルフパロディもあって大きなお友達向けのファンサービスが詰め込まれている
そしてギャグ要素も多い
全編で大塚明夫がずっと活躍している
ちょこちょこ流行してたセリフもいってて「食ってみな!飛ぶぞ!」「ちょっ、待てよ!」「もうええでしょ!」と古いのから最新まで見事にカバーしている
映画館にはちびっこも多かったが、子供向けとしての工夫もあったと感じた
映画の時間も70分弱と短いしモルカーのうんち、おならネタがまぁまぁ擦られているのも微笑ましい
何よりラスボスを倒したときの爆発が過剰過ぎて爆笑してしまった
ところでこの作品ではベンチャー企業がヒールになる
セグウェイっぽい乗り物に乗ってジョブズみたいなプレゼンをするCEO
社員は新商品の開発で変な盛り上がり方をしている
自分自身がベンチャー企業の人間ではあるので複雑な気持ちもあるが、世間から見たベンチャーはこういうウザさがあるのかもしれない
また自動運転ができるモルカーが出てきたり、機械っぽくない新しいモビリティも出てくる
終盤に出てくるロボットのスカイエンジェルという名前はスカイネット感を感じるし、AIの暴走というテーマはかなりターミネーターである
モルカーのアニメがやっていた頃、「人間は愚か」というコメントがよくあったが、スカイエンジェルも同じような判断をして人間を回収してしまう
もしかしたら視聴者のメタファーかもしれない
ただベンチャーも悪意はなく、あくまでモルカーと人の生活、安全のために動いている
問題あるとしたら以下があるが、これは現実にも起こっているだろう
インシデントが発生したときに早い段階で正直に言えない心理的安全性の低さ
ユーザー(人とモルカー)にヒアリング出来てない
効率化を重視してモラルを失っている(善意はあるがモラルがないことに気づけない)
ただ序盤こそベンチャーはウザい、悪い奴という演出があるものの、ベンチャーやAI、ロボット、テクノロジーといった要素を絶対悪としないところが良い
最終的には開発されたロボットとともにニンジンを育てている
まさにアグリテックでもある
こうした現代社会と近未来を予見するようなSF的演出とモルカーのかわいさ、アクション、コメディ要素が詰め込まれた怪作なのであった