紅葉の對龍山荘庭園を巡る
ある方のサジェスチョンで、はからずも南禅寺参道にある對龍山荘の庭園をめぐる僥倖(ぎょうこう)にめぐまれました。
以前、七代小川治兵衞を調べていたときに、對龍山荘の庭園には藁ぶきの水車小屋があり、水車がまわっていることは知っていましたので、それをわが目で見れるかと思うと、気持ちの昂ぶりは抑えられませんでした。
對龍山荘というのは、薩摩藩出身の伊集院兼常が山県有朋の無鄰菴に対抗意識をもって、東山に建てた別荘ですが、それを呉服商の市田彌一郎が譲り受け、「植治」こと七代小川治兵衞が手を入れ完成させたと言われています。
わたしが言葉を労するよりも、皆さまには画像をご覧になっていただいた方が良いと思いますので、画像中心にご案内いたします。
それでは、最初に表門と順路マップをご覧ください。
表門を入ってすぐ左の路地を行きます。
路地を抜けると、池があり、遥か遠くに東山三十六峰を借景に庭園が一望できます。素晴らしい眺望ではないでしょうか。
池に沿って路地を行くと、瀧が垣間見え、藁ぶき水車小屋があらわれるのです。水車はゆったりと大きくまわっています。秀逸な光景です。
水車小屋を抜けると、芝生の庭が出現し右手には四阿(あずまや)があります。案内の方のご説明によると、この芝生の庭をつくったことが、七代小川治兵衞をして近代庭園の先駆者たらしめているとのことでした。また芝生の縁には苔がびっしりと生えており、さすが京都ならではの庭であります。
また案内の方の話ですと、左手には桜の樹があり、その奥には藤棚があり、春には桜が、初夏には藤の花が咲くそうです。
芝生の枯れススキを眺めながら右手奥に行きますと、小さな滝があり、そこから琵琶湖疏水の水が取り入れられているそうです。
その流れは瀬音を響かせた、せせらぎとなり、そして、ゆるやかな流れとなり、またせせらぎと、動と静をいくどか繰り返しながら、聚遠亭(じゅおんてい)の前まで流れて来ます。
石をつめた蛇籠(じゃかご)と青々としたトクサ、よく見ると流れ蹲踞(つくばい)もあり、それらを眺めながら茶室の前を抜けると、舟つき場越に豪快に流れ落ちる瀑布が見えます。なんとも素晴らしい景観であります。
そこから路地は急角度で左折し、對龍台の建物に向かいます。對龍台の真下に急峻な流れがあり、滝となって池にそそぎこみます。池の奥の瀑布の豪快な水音と急峻な流れの滝の瀬音と、その両方が聴けることは七代小川治兵衞の作庭の醍醐味ではないでしょうか。
さらに驚いたことに、その急峻な流れを渡る飛び石は對龍台の軒下をくぐるようになっていて、滑らないように恐る恐る渡りましたが、その素晴らしさに思わず息を呑みます。
ふたたび元の場所にもどって、池を見やれば東山三十六峰がくっきりと澄み切った冬の青い空のしたで輝いています。
そこで一句
一陣の風よ吹け
あの白い雲が
いくつもの山を越えて
行けるように
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