むかし書いた韓国コラム #395
日本人の知り合いから「キムチはいらないか」との引き合いがあった。なんでもキムジャンシーズンになると家主が大量のキムチを持ってくるのだそうだ。そんなに大量に消費するものでもなく、まして日本人の家にキムチ冷蔵庫はないため冷蔵庫がキムチ臭くなるなど、持て余している状態という。少しでも減らすためにヘルプを求めてきたという次第。
一方、わが家主はなにかと世話を焼いてくれるありがたい人だが、幸か不幸かキムチをもらったことはない。旧正月や秋夕にちょっとした料理を持ってきてくれることがあり、これがあまり口に合わないということで難儀したことはあるが、量はたかが知れており、においの問題とも無縁だ。
韓国を代表する食品がキムチであることに異論はないだろう。外国人にもキムチが好きな人は多くいる。しかし苦手な人にとっては少々困った贈り物である。知り合いも「満面の笑みを浮かべて親切心で持ってきてくれるのを断り切れないし…」と困り果てていた。
【解説】
駐在を終え日本に帰任した元駐在員の中にはキムチを常備しているという人もいるが、個人的にはキムチはそれほど好きではなく、日本に引き揚げてからも家でキムチを食べたことはない。ソウルに住んでいたころは外国人向けのキムチ漬けイベントに人数合わせのために出てくれないかという依頼を受けたこともあったが、作ったものをもらっても持て余すだけなので断固として拒否していた。
(初出:The Daily Korea News 2014年12月5日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)