最後に
私がこの文章を作っている間、私の考えるゴルフ以外の面白くなさそうな競技について調べてみた。例えばマラソン、例えばロードレース。これらは前章の『シンプルな話だが、ゴルフはつまらない』に記載した①、③に該当しているだろう、そのため観戦していても熱狂しなさそうだと思っていた。一つの競技に取り組んでいる人間は、その競技を貶されるとあまり快く思わないだろう。だからこそ「マラソン つまらない」「ロードレース つまらない」といった文言で検索をかけてみた。きっと自分の競技を擁護するブログ記事ばかりが出てくるのだろうと思っていた。しかしその逆だった。マラソンは走っている間ヒマだという競技者の声や、ロードレース競技者はレース中盤を観ていても意味がないという意見がある。その発言の意図をなんとなく理解が出来てしまう自分がいた。高校生の頃ランニングのトレーニング中は走る時間が長すぎて、体力的には問題がなくても精神的な苦痛を感じていた。ロードレースのテレビ放送を長々と観たことは無いが、先ほどの意見は容易に想像がつく。やはり個人競技であり、駆け引きの幅が狭い競技は退屈になりがちなのだ。
この意見を目の当たりにして私は思った。マラソンランナーも、ロードレーサーも、自分たちの競技の欠点についてしっかりと認めている。流行らない要因、人気が出ない要因、つまらない要因、そういうのを自覚している。すごく好感が持てた。だからこそあえてフォローするならば、例えばマラソンのように長時間走っているとアドレナリンが出て走る苦しみが快感に転じる場合がある。ロードレースは自転車をこぐことで速さを、風を感じられて爽快感がある。きっと観ているだけでは分からない面白味があるはずだ。これに比べてゴルファーはどうだ。「本当は面白い」だとか「魅力に気付こう!」だとか「ゴルフ嫌いはクズ」そんな意見ばかりで、自分たちの弱点から目を背けてばかりだ。私はそういうのが大嫌いだ。自分の欠点や弱点をひた隠し、それを突こうとする者を否定する。そして終いにはゴルフを勧めてくる。自分たちにとってそれが正しいと考えるのは別になんの問題もない。ただ、他者の意見を捻じ曲げようとするその陰気な心意気に胸糞悪さを感じずにはいられない。これでは、野菜食の大切さを説くのではなく肉食を否定するヴィーガンのように、男女平等を主張するのではなく男性をこき下ろすフェミニストのように、本来の意味や目的を取り違えらえれてしまった『ゴルファー』という言い回しが生まれてしまうのも時間の問題だろう。
ゴルフという媒体でゴルフが下手な友人とワイワイ遊ぶのは素晴らしいことだと思う。ただ、ゴルフを通じて不愉快な思い出を作っていくのであれば、そんな人にゴルフを勧めるのはやめてあげよう。