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退職を決意するまでの備忘録


新卒で入社し4年目、退職することを決めた。
異動になって営業所が変わり少し経ったところだった。

同じ会社であっても営業所が変われば別世界。
同じ商品を扱っていてもやり方、ルール、そこにいる人々も何もかも違う。
友人と全く同じ顔をした、性格のまるっきり違う人に出会ったような感覚だ。

それでも、わからないことはわかるようになるまで
いろんな人に聞いてメモしてインプットして毎日を掴んだ。
できないことは軌道修正して何度も繰り返してできるようになろうとした。
そこに元々いた同年代の社員より頑張っていたと自負できるかもしれない。
知らぬ間に残業時間は増え、朝早く起きて家に帰るのは22時ぐらい。
夜ご飯を作る気力も食べる気力も、コンビニに寄る気力も無くなって
夜は時々アイスだけ食べて寝て、起きて仕事へ向かう。
空調のない場所で体力仕事ではあったので、朝昼は倒れない程度に食べる。
手作りしていたお弁当はいつの間にかカップスープひとつに変わっていた。
寝ても覚めても胃が痛く、数時間おきに起こる頭痛。
休みの日も楽しめるわけなく、好きだったことも何が楽しいんだと思うようになり、
朝起きた瞬間から明日仕事か、と考える始末。
そんな生活が数ヶ月続いた。

これを話せる人もいない、今思えば信頼できる人を作れなかった自分の性格と
しんどいなんて忍耐が足りないだけだとかつて運動部で培われた思考、
自分が変わっていけば、もっと頑張れば何か変わるという
自己犠牲の心が自分を支配していたせいだろう。

ぷつんと何かが切れる音がした。
このままこの生活を続けて一体何になるのだろう。
成長もない、自分の将来につながる事をする時間も取れない、
もっと自分が頑張ればもっとこの世界を吸収すれば何か変わるとか
でかいことも思ったりしたけど
身体も感情も壊れてしまいそうだったので退職を決意した。

会社に不満はないと言ったら嘘になるけれど、
それでも申し訳ないという気持ちが先に来た。
以前お世話になった上司たちからたくさん引き留められた。
お詫びと感謝の気持ちを精一杯伝えた。
人生でこんなにお詫びと感謝の気持ちを同時に伝えることがあるのかと思うほど
いろんな人にその想いを伝えた。

新卒という有利なカードを武器に入社した会社。
正社員、安定、与えられたレールに乗っていれば飢えることもない。
その道を手放し、整備もされてない荒地を進んでいくことを選んだ。
退職することによる役所関係の手続きも正直めんどくさい。
密かに会社に守られていた事を知る。

いつか人生を振り返った時、この選択を後悔する時が来るかもしれない。
続けていれば今苦労していなかっただろう、と過去の自分を恨む日が来るしれない。

そうやってこの選択を俯瞰して見れるほど大人になれる日まで、この選択を自分の正解にできるまでちゃんと生きることにする。この再出発の決意を忘れない。

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