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北海道博物館が楽しかった話

過日、久々に北海道へ行くことができました。今回は初めて訪れる場所が多かったのだけれど、そのうちの1つがこの北海道博物館。大人も子どもも楽しめる展示が多いときいたので、行ってみました。

外観はこんな感じ。博物館にしてはシンプルで四角い造り。
そして第一印象は…なんかちっちゃい?

Wikipediaより

移動の兼ね合いで午後ゆっくりめに訪れたから、この感じなら全部回ってちょうど良いかも〜と軽い気持ちで入館したら。あれ、中は思っていたよりだいぶ広いぞ。それに、常設展も企画展も、どれもこれも興味深い展示ばかり。
…はい、閉館時間までに全然回りきれませんでした笑。たいっへん失礼いたしました。

さて。中でも私が楽しみにしていたのは、常設展の「アイヌ文化の世界」でした。
何せ今年は、何気なく読んだ『ゴールデンカムイ』→古本屋で棚に正面向きで置いてあって(この置き方、面陳列と言うらしい)目に入ったから買ってみた『アイヌの碑』と、アイヌにまつわる作品でその世界観や史実を読んでnoteにまとめていたからです。

こちらね。

まず展示の配置が絶妙でした。入っていきなり、巨大なナウマンゾウとマンモスゾウに圧倒され、一気に数十万年前の北海道に引き込まれます。段々と人間が土器を作ったり、石器を作ったり、家が丈夫になっていったり。。。いつかどこかで見たことのある流れだけれど、本州以南のそれとはまたちょっと違う方式だったり。

自然に、北海道に定住する民族のルーツやその変遷の展示に移り変わり、第2テーマ「アイヌ文化の世界」に足を踏み入れている。その流れがとてもよく構成されているなと感じました。

漫画や本でも色々考察したり想像したりできたけれど、やはり実物のインパクトというのはすごいものです。アイヌ民族から和人への交易品ひとつとっても、目を瞠るものばかりでした。ヒグマの毛皮の巨大さには、本当にこんな巨大な生き物と戦えたのか…と、戦慄するような気持ちに。ラッコの皮、エイの皮、シカの皮、オットセイの皮、大量の鮭に、鱈に。へえ、これが!わあ、こんな感じなんだ、と、初めてのものに目をキラキラさせるちびっ子状態でした。

交易品なんてほんの序の口。衣服や民具のひとつひとつも、芸術的でした。鮭の皮でできた靴ってどんなのだろう…とずっと気になっていたものも、薄いガラスを隔てて目の前にしたときの感動。へえ、これが木の皮で作った服か。これがマキリ(小刀)の紋様か。イクパスイ(カムイや先祖にお酒を捧げるためのヘラ)ってこういう感じなんだ。丸木舟、思った以上に細い!
これ、本に出てきたやつそのものだ!これ作った人知ってる!あの人も出てきた!この研究者こんな感じだったんだ!
…なんていちいちやってたわけで、時間、足りるわけなかったです笑。

アイヌの生活だけでなく、もちろん歴史についてもしっかり展示されていました。和人の砂金掘りで川が汚れて鮭が取れず、冬の食糧に困るようになったこと。せっかく取れた鮭も、交換できる米俵がどんどん小さくされたり、同じ大きさの米俵と交換するにもとんでもない量の鮭を要求されるようになったこと。松前藩から場所請負制という制度を決められ、和人に一方的に命令されるようになったこと。肥沃な土地を和人に開発され、作物も育てにくい地域に追いやられたこと。和人の戦争に加担させられたこと。他にも色々。知識的に流れは頭の中にありましたが、本物・レプリカに関わらず、実物を前にそういった史実を知ることは、臨場感が半端じゃありませんでした。

そして現代に繋がる展示も興味深かった!悲しい話ばかりではない。アイヌ語をいかに保存し伝えていくか。アイヌ語の歌や音楽や、ウウェペケレ(アイヌの昔話)の紹介。ウウェペケレって、なぜかちょっと変なお話もいっぱい。実際の音声も収録した動画も色々あって、これまた全部観たくなっちゃう。そしてだいたい観る。
…うん、後の展示さらっと回るしかなくなったわけよね笑(くどい)。

ところで、紹介されていたアイヌ語継承者の中には、以前、アイヌ語のアナウンスを流す路線バスの話題で知った関根摩耶さんのお名前もあって、おっ、と思いました。
この記事がとてもわかりやすいかも。

最近はあまり更新されていないようだけれど、YouTubeもされているんですよね。

後から知ったけれど関根さんは、さきほどの本の著者、萱野茂さんが生前に作られたアイヌ語教室をきっかけに、アイヌ語を伝えるようになられたそうです。
バスのアナウンスのお話、見つかるかな。あ、これだ。ありました。

文字を持たないアイヌ語が、ここまで続いていることって本当にすごいことだと思います。本当は、せっかくなら二風谷方面や、ウポポイにも足を伸ばしてみたかったのだけれど。今回は日程的に難しかったので、またいつか。
北海道、奥が深い。

ああ、こんなの書いてたらまた行きたくなってしまった。ではまた!

追記: アイヌの展示だけはさも堪能できた感の文章になってしまったけど、そういえば実際はそこも一つ一つはさーっと行かざるを得なかったり、泣く泣く省いたエリアもあったのです。みんな速いんだもん泣。
ということでまたいつかじっくり行きたいです!

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