ほのぼの生きる 094_20230418
いちごの思い出
私は果物が好き。
りんご、みかん、イチゴ、キウイフルーツ、ブルーベリー・・・
果物って値段に関わらず食べたいからついつい買っちゃう。
昔は夕食後に食べていたが、最近は朝食べるようになった。
我が家の朝食には必ず何かしらの果物が出る。
今はキウイフルーツが多いかな。
もう少しすると生のブルーベリーが店頭に並ぶが、時期外れのブルーベリーは冷凍のものを購入して、ヨーグルトに入れて食べる。
他の果物はあまり気にならないのだけれど、
なぜかイチゴだけは値段を気にして、手が伸びない。
298円であれば買っちゃう時がある。
398円であれば迷うなぁ。よほどのことがないと買わないかな。
498円であればそれはもう誕生日かクリスマス、特別な日でないと買わない。
それ以上の値段であれば、どんなにおいしそうなイチゴであっても買えないな。
私が今無職だからではない。
お金がたくさんあってもイチゴはなんだか高級な気がしちゃう。
これには中学時代の苦い思い出が影響しているかもしれない。
私の家では、祖父が弁当を作ってくれていた。
正直、女子中学生の弁当がおじいちゃんの手づくりということを
ちょっと恥ずかしいと思っていた。
じゃあ、自分で作れよって話なんだけど、おじいちゃんに世話を
焼いてもらうことが私なりのじいちゃん孝行みたいなところがあったのだ。友だちに嘘はつけないので、「私のお弁当はおじいちゃんに作ってもらっている」とは伝えてあった。
この年頃は思春期の真っただ中で、とても繊細であった。
ちょっとしたことが気にかかる。
人に何かを言われるのが嫌だった。
それはたとえ誉め言葉であっても。
たとえば「可愛いノートだね」とノートを褒められただけで、
そのノートはもう学校に持っていきたくなくなるといった心境。
私という人間を見てほしくなかった。
そおっとしておいてほしかった。
ある日、一緒に弁当を食べていた友達が
「うぉんのすけの弁当にはいつもイチゴが入っているよね。
この時期外れのイチゴってめっちゃ高いんじゃないの?」
と言ってきた。
私は弁当のことを言われたことがとても恥ずかしかった。
家に帰って、祖父にイチゴの値段を聞いてみた。
「これは今1000円するんだよ。それがどうかしたか。」
祖父は私にイチゴを食べさせてやりたかった。
私がイチゴが好きだから。
美味しそうにいつも食べているから。
値段なんか、関係なかった。
私は、感謝するどころか、かーっと頭に血がのぼってしまい、
「そんな高いイチゴ、うちが裕福な家庭だってみせびらかすみたいで
いやだ!!もう二度とイチゴ入れないでっ!」
と祖父を思いっきり責めてしまったのである。
近くでこの会話を聞いていた母が私を叱った。
「おじいちゃんの気持ちがわからんかっ!!
お前に美味しいイチゴを食べさせてやりたい、おじいちゃんの気持ちがっ!!」
めっちゃ怒られた。
そう、母はいつも私のことを叱ってばかりだ。
とくに祖父のことになると激情する。
祖父は何も悪くない。悪くないのに・・・
祖父のせいで、また母が私を怒った。
これも耐えられなかった。
「おじいちゃんのせいだーーーー!!!うぁーーーーん!!」
今思えば、何これ?
っていう感情なわけだが、当時(中学生)の私はこの感情が正義だった。
明日からイチゴを弁当にもっていかなければ、もう友だちに何か言われることもない。
1000円と高いイチゴももう買わなくていいから、家計も助かる。
でも、私の気持ちは全然晴れなかった。
祖父を傷つけてしまったことだけが、私の気持ちにずんとのしかかり、49歳になってもまだその傷が癒えない。
なんであんなこと言っちゃったんだろうなぁ。
祖父はとても傷ついた様子で、黙って下を向き、「もう明日からはイチゴは入れん」と言っていた。
それから私が大人になり、家でイチゴが出るたびに、必ず出るこの話題。
母が出すのだ。
母からしたら大事な祖父を傷つけた憎たらしい我が娘と言ったところだろうか。
母がこの話を持ち出すたびに、私は胸の傷が二重にえぐられる。
祖父を傷つけてしまったこと、いまだに母が祖父を優先していること。
イチゴは私の苦い思い出だ。
今日もスーパーで298円、398円・・・と並んだイチゴを見ながら、天国の祖父を思い出していた。
祖父は私にとっては特別な存在で、noteにはほとんど登場しない。
本当は私の原点であり、私の一部を占めており、祖父なしで私の人生は語れないというのに。
私が誰かにどこか褒められる部分があるとすれば、それは全て祖父のお陰だと思っている。
それぐらい祖父には感謝しかないはずなのに、感情がぐじゃぐじゃになって、うまく整理して気持ちを書けない。
でも、これからちょっとずつ祖父のことも書いてみようかなぁと思ってみたりしている。
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