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本当に美味しいアルコールフリービールに出会った
私どもではクラフトビールの潮流を考えるにあたってBeyond Beerにも注目すべきだと主張してきました。(Beyond Beer クラフトビールのこれからを考えるヒントで詳述したので気になる方はご覧ください。)その代表格がハードセルツァーであり、日本ではそれほど流行しなかったもののアメリカでは大きな存在感を示しています。
上掲の本で他にもBeyond Beerを構成すると思しきジャンルに触れていますが、その中で気になるのがNoLo。「ノーロー」と読み、ノンアルコール及び低アルコール製品を指します。このジャンルはソーバーキュリアスなZ世代を中心に人気で、メーカー側も無視できない存在になっています。
そんな中、こんなニュースを思い出しました。
パブでギネスのノンアルコール版がドラフトで提供されます。今のところ試験販売ではありますが、「パブ」で「ドラフト」の「ノンアルコール」というのは新しい試みで、注目したいものです。記事によると家庭用市場での高評価を受けての業務用進出であり、クリスマスまでに店舗数拡大を目指すとのこと。
ちなみに、この商品は一度醸造してからアルコールを除去して0%にしているもので、英語圏では正確にはノンアルコールビールではなく、Alcohol-free(アルコールフリー、略してAFという表記も多い)という言い方をします。酵母に由来する成分がある点で醸造せずに麦汁を加工して作るノンアルコールビールとは異なるものなのです。
さて、その後の報道を様々見ていくとかなり評判が良く、現地にお住まいの方からの情報だと「現状頭ひとつ抜けている」、「今のところダントツ1位で推せるヤツです」と高い評価です。The Drink BusinessのThe 10 best no and low alcohol beers for 2025にも取り上げられていて、その品質の高さはまず間違いなさそうです。
「そんなに良いのか。日本未発売だけど、飲んでみたいなぁ…」と思っていたら、ご縁があってお土産に1本頂きました。Instagramのコメントに書いた通り、予想以上にギネスで本当に美味しかったです。アルコールフリーでここまで美味しかったものはこれまでに経験がありません。正直に申し上げて、驚きを隠せませんでした。このレベルなら確かにウケる。
日本でもノーローの流れは確実に来ています。アサヒビールがノンアル・低アルドリンクを「スマドリ」という名称で展開しているのはTVCMを見てご存知の方も多いと思います。この取組みのコンセプト店が東京・渋谷にあり、メニューはボトルドカクテルを始めとするミックスドリンクで、目を引くビジュアルデザインのものばかりです。ドラフトビールとしてドライゼロが提供されているというのも注目のポイントです。
とは言え、まだノンアルコールのドラフトはこの店舗くらいなもので、広く一般には提供されていません。大手各社ノンアル、低アルの商品は発売していますが、冒頭のギネスのように遠くない将来飲食店でドラフトのノンアルビールが提供されるようになるでしょうか。この点について私はまだ答えが出せていません。国産で上記のギネス0.0級に美味しいものが現れたら、オルタナティブとして俄然注目されるように思うのです。今のところ、私の経験では候補になるものがないだけで、いつか出てくるだろうと信じています。
日本の酒税法では色々面倒なのだけれども、やっぱりこれまでのノンアルコールビールよりも脱アル製法によるアルコールフリーの方が美味しいということになるのかなぁ…
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