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命のリレー「ばあちゃん、またね」


ばあちゃんが、目を閉じたまま目を開かなくなったらしい。





私のばあちゃんは数年前から施設に入っている。

90歳を超えるまで自宅で生活していて、施設に入るまでの数年間は両親や叔父夫婦がご飯を作りに行ったり、家の片づけをしに行っていた。自力で歩くのが困難になってから、施設に入った。


ばあちゃんは寂しがり屋だったから、家で一人で過ごしているより施設で仲間やスタッフに囲まれて過ごしている方が表情がよくなったと母から聞いた。ちょうどコロナの時期だったこともあり、私はなかなか面会には行けなかった。


コロナも収束してきた頃合いということで、この間のGWにばあちゃんは一時帰宅をした。2~3時間程度だったが、それに合わせて親戚が集まって、ばあちゃんを囲んで食事をした。

ばあちゃんは耳が遠いから、耳元で大きな声で話しかけないといけなかったが、それでも話しかけたら少しニコリとして「そうね」と言った。

ぽっちゃりしていたばあちゃんは施設の健康的な食事のおかげでだいぶスリムになっていて、私の知っているばあちゃんではなく違う人のように見えた。





「ばあちゃんは、もうあとちょっとかもしれないね……」

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