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認知症の母と兄とわたし
昨日と今日、対話的な打ち合わせをさせて頂いて「あっ!母と兄と話をしておかなければ!!」と気付きを得て急遽実家へ行きました。
打ち合わせで頂いたイベントのチラシに、私のプロフィールを載せて頂いていたので、それなら「母とつながれるかなあ」と思い立ったのですが、それまでどうやら下(しも)の世話が大変だったようで、終始兄は「無言」で淡々と身の回りの世話をしていました。
母はチラシには興味を持ってはくれましたが、それよりも以前に持って行った、お寺様のお線香の記憶が鮮明なようで、その話を繰り返し繰り返し、何度も何度もしてくれました。
また、「孫が一度も来ていない!」というので、スマホの画面に「また連れてきます!」と打つと、時間をかけて眼で文字をたどり、「いうといてや!」と会話ができました。
すると続けて「リサちゃん(上の娘)服屋さんなんやてなあ」と言うのです。実は正月に家族で来ていて、その時に服屋さんで働いていると伝えていましたので、「よう覚えてるな」と打つと嬉しそうにしていました。
最近の事でも確実に覚えている部分はあります。
「兄貴に感謝やなあ」と打つと、兄がいつでも献身的に世話をしてくれることや、兄への感謝の言葉を話し出したので、ずっと耳を傾けました。色々と用事に動いている兄の耳にも声は届いていたと思います。
すると兄が話し出しましたので、兄に話し続けて貰う努力をしようと思い、丁寧に耳を傾けました。
10年前に親父の介護をして見送っているけれども、10年前と今と介護用品は全く変わっていない。同じカタログだったりもする。ケアマネもまったく介護のことを知らない人がくる。私は介護を2回やっているので、こっちのほうが詳しい。用品も使い方もしらない。国は福祉にお金が要るといっているが、途中の業者に消えて行っていて、当事者にはあまり恩恵が無い。おむつも高いし、遅いし待ってられないから安いところへ買いにでる。
等々、その他にも色々。。。
兄貴は日頃母以外の人間とはあまり話をする機会がないと思います。話ながら少し笑ってくれたのも良かったと思いました。兄の話に対して何も言えませんでしたが、兄には感謝の言葉を述べて、母に手を振ると「もう帰るんか、ホンマよう来てくれた、兄貴がホンマにようやってくれるんやで、」と言ったので、手をさすって首を立てに振って帰ってきました。
正直母はかなり弱っていた。兄も疲れていた。ぽつりと「介護用品の開発でもしようかなぁ」と。聞けば車いすのストッパーでは不便なときもあるらしい。自分で自動車の車止めを買ってきて工夫をしていた。
親の介護の為に生まれてきたような兄に、一生を捧げてきたその経験を生かして出来ることはなかろうか。本を書くとか、講演をするとか、相談に乗るとか。勿論本人が望めばですが。
いずれ兄に新たな繋がりが生まれますように。