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一本桜③深夜編

一昨日・昨日に続き、私がわがまちでいちばん好きな桜について。


先週の月曜・金曜と、それぞれ明るい時間と暗くなってからの時間に、恋してやまない淡墨桜に逢いにゆくことができた。ここに通うようになってからの四年間は、毎年こうして花の盛りに二度お邪魔させていただいている。朝と夜でまったく違う表情をこの春も楽しむことができ、めでたしめでたし……と言いたいところなのだけれど、この春はどうしても挑戦してみたいことがあった。

ライトダウン後の夜桜撮影である。

照明が消え、できれば見物客が誰もいなくなるであろう深夜に、愛しき君とふたりきりの時間を過ごしてみたい……そんな思いを年明けくらいからひそかにあたためていた。


そんな思いを所有者の方に打ち明けてみると、「全然構わないよーでも冷えるからちゃんとあったかくしといでよ」と、なんともうれしいお答えをいただいた。気前良すぎる。

というわけで金曜、ライトアップされた桜を撮影した後に一度帰宅し、夕食や入浴、ねこたちのお世話を済ませて、日付が変わる頃に再びお邪魔させていただいた。ちなみに翌日は早朝から休日出勤のミッションがあったので、深夜桜撮影後はそのまま仕事に直行できるよう、しっかり身支度も整えてきた。完徹をするとその後大変なことになるお年頃なのは重々承知しているけれど、今宵このひとときだけはその現実を見えないフリで乗り切る覚悟。


午前零時過ぎ、忍者のようにしのび足で所有者さんのお庭を横切って桜のある場所にたどり着く。ちょうど満月が近くなってきたタイミングで、月明かりの中にほの白く、愛しき君の姿が浮かび上がっていた。

うっ……うつくしい……!

そいでもってふたりきり……!!


しばらく写真を撮るのも忘れて呆けてしまったけれど、ぐんぐん下がってくる気温に我に返り、ハクキンカイロで暖を取りつつ撮影を始めることにした。

ストロボなんて上級者アイテムは所有していないので、手持ちの懐中電灯で桜を照らして撮ろうと考えていた。ちなみにライトアップされていない夜桜を撮影するのも初めてだ。

とりあえず桜の正面から懐中電灯を当てて撮ってみることにした。


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こわい……!なんか貞子さんとか伽椰子さんとか出てきそうなの撮れてる!

あと菜の花が目立ちすぎてる!(正面から照らしてんだから当たり前だ)


正面からだとアカンということを瞬時に理解し、今度は桜の根元に懐中電灯を置いて数枚撮影してみる。懐中電灯のべスポジを把握するまでに、桜の根元からカメラを置いた場所まで、10mくらいの距離を何度か小走りで往復した。


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いい感じになってきた。貞子さん&伽椰子さんみも消えている。


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明るくしたり、暗くしたり、寄ってみたり引いてみたり。ひとりきりなので思う存分に試行錯誤を繰り返すことができた。

同じアングルで数十枚撮ってへっぽこなりの自己満足を得たので、ソロキャンプを始めてから覚えたあの写真にも挑戦してみた。


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ライヴコンポジットで60分くらいかけて、星の軌跡を追いかけてみた。満月に近い夜なのであまりはっきりとは映らなかったけれど、なんとなくそれっぽいものが撮れた気がする。満足。新月だったらもっとくっきりと、星がシャーってしてる感じになったと思う。来年に期待しよう。


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せっかくなので月を入れた写真にも挑戦してみた。


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懐中電灯みがどうにも消えない……やっぱりストロボは必須かなあ。来年までじっくり考えようと思います。


そうして3時間ほど愛しき君と濃密な夜を過ごし、そのまま仕事に向かった(始業まで車中で2時間程仮眠しました)。ほぼ完徹状態で仕事をしたのはずいぶん久しぶりだったけれど、仕事中はさほど眠気にも襲われなかったため、「なんだ、私まだまだイケるじゃん!」と鼻の穴をムフンと膨らませて業務に励ん……だところまではよかったのですが、そのツケは土曜の夜からしっかり回ってきてまだ解消されておらず、日曜に15時間近く眠ったにも関わらずまだ眠いです。お年頃を痛感している次第です。

でも、この春やってみたかったことが叶って大満足。この満足感を支えに、週末までがんばろうと思います。あと四日か……長いな。

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