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鍋焼きビビンバ

今夜の晩ごはん、鍋焼きビビンバ。フライパンに油を熱し、おろしにんにくとサバ缶(汁ごと)、コチュジャンを入れて、汁気がなくなるまで炒める。豆もやしは熱湯でさっと茹でて水気をよく切り、熱いうちにごま油とおろしにんにく、鶏がらスープの素、砂糖、たっぷりの白ごまであえておく。ほうれん草も熱湯でさっと茹でて流水で冷やし、水気をよく絞ってざく切り。こちらはごま油とぽん酢、味の素少量で味付けする。市販のキムチはざく切りにしておく。小鍋にたまごが丸々ひたるくらいのお湯を沸かし、そこに冷蔵庫から出したてのたまごをそっと沈め(ないと割れますんで要注意。経験者より)たら火を止めて、そのまま12分間放置する。

土鍋(ホームセンターで買った安いやつ)にごま油を入れてぐるりと回し、鍋底にまんべんなく油を行き渡らせたら、これを火にかけて煙が立つまでしっかり熱する。そこにあたたかいごはんを敷き詰め、その上に用意しておいた具材のうち、サバ缶・豆もやし・ほうれん草・キムチをバランス良く配置する。香ばしい香りがしてきたら火から下ろし、最後に真ん中に温泉たまごをトッピングしてできあがり。


今夜の晩ごはんはマンガ飯!鈴木小波さんの『ホクサイと飯さえあれば』8巻に登場する、鍋焼きビビンバを作ってみました。



表紙にもなってるメニュー。それにしてもごはんが完成した時の、主人公ブンちゃんのこういう顔がほんと好きだわー。完全にイっちまってる。


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作中では豆もやしとほうれん草、どちらも同じ味付けでスタンダードなナムルにしているのだけれど、同じ味が被るのはちょっとつまんないナーと思ったので、ほうれん草はぽん酢を使ってアレンジしてみた。酸味のあるナムルも好きなんです。

いただきますと手を合わせたら、鍋の中を存分に蹂躙します。これがビビンバを食する者すべてに課せられし義務……(ってどっかで読んだ気がする)。


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おこげもできてるー!


ピリ辛サバ缶にキムチ、ナムル二種。どれもパンチ力のある具材ばかりなので、ちょっとしつこすぎる味なのでは……?と不安だったのだけれど、食べてみると思いのほかマイルド!これは完全に温泉たまご様の御加護あってこそだなー。それぞれの主張をおおらかにトロリとやさしく包み込み、かと言って決して抹殺はせず、絶妙な距離感で寄り添ってくだすっている。コチュジャンの甘辛さをまとったサバ缶のコク、キムチのピリッとした刺激。豆もやしのしゃきしゃきした食感に、しっとりとしたほうれん草の爽やかなぽん酢味。どいつもこいつもめちゃくちゃおいしい!そして白眉はおこげ!香ばしくて、カリッカリの歯ごたえで、何これ今世紀最高のやつじゃない……。土鍋でごはん炊かないとおこげって楽しめないと思っていたけれど、こんな簡単においしいおこげができるとは!ちょっとハマっちまいそう。


具材が多いのでごはんは少なめにしたのだけれど(お茶碗に軽く一杯くらい)、食べ応え十二分!食べ終わるとお腹がはつはつになりました。でも野菜たっぷりなので、食べ過ぎの罪悪感がだいぶ薄れるのもうれしいです(笑)。フー満足!ごちそうさまでした。


土鍋は水分無しで熱すると物によっては割れる場合もあるらしいので(恐)、お試しの際はくれぐれも自己責任で……。高級土鍋を使うのはリスクマネジメントの観点からも、およしになった方がよろしいかと思います。我が家にはそもそも高級土鍋なんぞないので、やっすい鍋でガンガン煽っちまったけれど、全然大丈夫でした。


いやーそれにしても即席おこげ、おいしかったなあ。暑気あたりで食欲ない時なんかも、熱々をフウフウ言いながら食べたら元気が出そう。夏本番にまた作りたいです。


前回ブンちゃんごはんを作った時も書きましたが、この作品は本当、心にぐっとクる名言が多い。


今回のこのメニューは、マンガ家志望のブンちゃんのライバル(?)的存在であるくまちゃんにふるまったもの。デビューを目指して奮闘すれど、なかなか芽の出ない二人。それでもマイペースぶりを崩さないブンちゃんに対して、意識高い系マンガ家志望のくまちゃんは、「漫画家志望には賞味期限があるのだぜ」と鬼気迫る表情で訴える。彼女の一言がきっかけで、冷蔵庫の中の賞味期限切れ食材のことを思い出したブンちゃんが、それらの食材で作ったごはんをくまちゃんと一緒に食べる……というエピソードです。

「大丈夫、消費期限と違って賞味期限は優しいから」と言いながら(これも名言だ)、ブンちゃんが作った鍋焼きビビンバ。食卓についたものの、本当に食べて大丈夫なの……?という不安でなかなか食べ始められないくまちゃん。そんな彼女に対し、ブンちゃんはこう言うのです。


「缶詰って密封してから熱で殺菌してるから、穴が空いてるとか錆びてるとか膨らんでない限り、中は腐らないんだって」

「だから」


「信念に穴が空いてなければ、人間は腐らないんだよ。」


この後「くまちゃんは賞味期限切れても、絶対に腐らなさそうだな」と言われ、顔を真っ赤にしながらスプーンを手に取るくまちゃんがどちゃくそかわいいっていうか私の中の百合脳が暴走モードに突入しかけたんですけどまあそれは置いといて。


信念に穴を空けず、いつまでも腐らずに、年を重ねていきたいよな。なんてことを思った日曜日でした。


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