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今日の読書感想文 「ファスト&スロー(上)」

今日はここ最近で一番暑かったのではないか。ただ部屋の中で本を読んでいるだけで、手汗で次のページがふやけているのが本当にストレスに感じる。とにかく頭がぼーっとする。何もやる気がおきない。毎年夏が近づいてくるたびに、こんなに夏って厳しかったか、と疑問に思う。記憶の中にある夏は、すでに思い出として編集済みで、その中に正確な暑さのデータなど残ってはいない。ただ、一つ思うのは、僕が今こんなにつらいと思っていても、結局冬が来れば、その時の僕の今の時期の記憶は美化され、早く夏が来ないだろうかと、虚飾にまみれた理想を押し付けるのだろう。そう考えると、僕には、ある意味では変化していない、過去の経験から学んでいない一面がある。そんな自分を愚かだと思うと同時に、そんな自分がまだ自分の中に生き残っていることに、安心感を覚える。

今日読んだ本は「ファスト&スロー(上)」である。長い前半戦だったが、ようやく終わりが見えてきた。

今日は本の内容に感銘を受けた、というよりかは、読んだときに考えたことについての感想となる。これを果たして読書感想文といえるかはわからないが。

この本からは、学べることが本当に多い。とにかく、僕の知らない情報であふれていて、頭の処理が追い付いているか、はなはだ怪しいものである。今日もたくさんの新しい事実に触れていく中で、僕は自分の知識が増えていくことに満足感を覚えていた。

突然、僕の脳裏に、個人としての人間が見ている世界は、認識できるものに限られるという当たり前のことが、やけにはっきりと感じられた。

この本では、著者やそのほかの研究者が行った様々な研究の方法、結果をたくさん記載していて、それに基づいた主張を展開する。大変説得力がある、論理的で理想的な構図だと思う。今日の僕は、なぜか実験の被験者の部分に焦点を当てたのだ。被験者として必要な素質の、研究者が何の実証をしたいのかがわかっていないという部分が強く印象に残った。

もし、僕がこの本と出合わなかったら、この被験者のように、何も知らないままだったのだろう。僕の世界は広がらない。そしてそのままこの先の人生を歩いて行ったとしても、この本からの知識を得た人と同じ世界は、おそらく見られないのだろう。

だが、これの逆もまた真であると思うのだ。この知識を得た僕の世界は、少なからず広がっただろう。だが、同時にその知識が、僕が元々見ていたものを覆い隠してしまうこともあるだろう。それがいいことか悪いことかは関係なく。

どのみち、他人と全く同じ世界なんて見られないのだ。人間が自分の目で見ている世界は、知覚する段階ですでに脳の編集が入っていると、昔読んだ本に書いてあったことが思い出された。事実として存在する、ありのままの世界は、まるでフィルターにかけられるように、自分の中の知識、常識、正義などのふるいにかけられ、より分けられているのだ。

こう考えると、他人にわかってもらおうとか、気に入られようとか、そんなことがとても無意味なことに見えてしまう。所詮他人の脳のフィルターが捉えられなかっただけのことだ。最近読んだ「嫌われる勇気」にも通じるところがあるような気がする。

そして、だからこそ、読書や会話は大切だと思うのだ。脳が拾える情報が増えれば増えるほど、見える世界は広がっていく。他人の考えを聞くことで、他人の脳のフィルターを手に入れられるかもしれない。他人の世界の一端を覗き見れるチャンスが手に入るのである。

本来の内容とはかけ離れてしまった。だが、これが今日の僕の読書の感想だったのだから、読書感想文という題書きに間違いはないと思うことにしよう。


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