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抜け空
最近は少なくなってきたのだが、10年ほど前から、帰宅途中の夜、悲しくて悲しくて泣きながら帰ることがたまにあった。
悲しくなる理由は、忙しすぎて腹を立ててたり、何気なく言われた一言に傷ついてたり、自分のふとした行動を激しく後悔していたり、さまざまだ。そして、泣きがはしまると、芋蔓式に悲しい出来事が蘇る。
昨日の同僚の態度。
先週友達を襲った理不尽な出来事。
ひと月前の家族とのこと。
去年の大事件。
10年前の流産。
過去のことだけでなく、これから起きる、かも、しれない、会社の仕事。家族の病気。お父さんの目。お母さんのペースメーカー。自分の失敗などなど、とめどない。
夜道におかしな人ぐらい泣きながら、やっとのことで帰宅しても、お風呂に入りながらもまだ、泣いてる。あぁ、もう死にたい。そこまで思うほど泣き暮れて眠りにつく。
そして翌日、朝の家事を終えて身支度しての通勤の朝、空を見上げると、今日もそうだけど、ものすごく青空で、
私、今日なんでもできるわ。
というエネルギーに満ち溢れている。
グリーンアップルさんの「私は最強」が流れてる感じの無敵感。
自分で出した解釈なので、正しいかどうか分からないが、だいたい、こういう日はperiodが来る。つまり、前夜の死にたくなるほどの悲しさのワケは、一部、ホルモンバランスなのだと思う。
最初のうちは、あまりにも落ち込みが激しくて、どうしたらいいか不安だったが、翌朝に必ず無敵感になることとperiodがやってくることから気づいてからは、悲しみに暮れて泣きながら帰る自分を、あぁ、きたきた、と眺められるようになった。
今は年齢も落ち着いたので、あそこまで泣きたくなることも、あれほどの無敵感も訪れないけれど、抜けるような青とセットで記憶されてあるからか、今朝の空は素晴らしい。
今日の私なら、きっとなんでも乗り越えられると思う。