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嬉しいメール

採用サイト構築のインタビュー

2年前。お客様企業の採用サイト構築で、大勢の社員さんにインタビューをしていた。通常は撮影も兼ねて現地に赴くため、お客様側の担当者さんや、ライターさん、カメラマンさんが同席するが、この企画は、私と対象の社員さんとの1対1で行なっている。

入社理由や仕事のやりがいなど、採用サイトによくある質問項目だけでなく、決断に至る背景や、仕事の喜びをそこに見出す理由など、「なぜ、そう感じるのか」までを深くお聞きし、その方の価値観や考え方を書きたいからだ。

用意されてない回答を引き出す

事前アンケートで表面的な回答は頂いておき、インタビューはガッツリ2時間ぐらいやる。真面目な方が多い会社さんなのと、みなさん20代〜30代前半と若く、取材を受けた経験もないため、どんな質問にも答えられるようにと準備をして臨んでくださる。とてもありがたいことだが、この取材における私の目標は、本人も気づいてなかったような自身の原点に一緒に辿り着くことなので、用意してきた回答をいただいた後の質問を、もっとも大事にしている。

なぜ、そう思ったのですか?
そう感じるに至る背景のようなものが、何かなかったですか?

すると、仕事には直接関係ない、学生時代の出来事や幼い頃の思い出、親や友人からもらった言葉など、さまざまな、その人の、その人らしいエピソードが出てくる。

記事にできることもあれば、誰にも言ったことないからと、記事にしないことはもちろん、記録メモからも消去するお話もあるが、2時間の間にかなり距離が縮まり、その人のことが大好きになる時間だ。

一通のメール

取材後、記事内容やページに添える写真のことで何度かメールのやり取りはするが、記事が公開されればそのやり取りは終わり、その後、連絡を頂くことはほぼない。

だから彼女からメールが届くことは考えてもおらず、頭に「ご報告」と、律儀に会社名と名前を入れたサブジェクトを見て、あれ?何かあったかな?と胸騒ぎを覚えながらメールを開いた。

中身は、2年前の取材の際に話してくれた、とある目標を達成したことの報告と、なかなかハードルの高い目標ではあったが、取材で話したこと、記事にしてもらったことがきっかけになり、諦めずに頑張り続けることができたこと、最後の方は、私に報告をしたい一心で取り組んだことなどが、お礼とともに綴られていて、感極まってしまった。

効果測定できないこと

前述のように、その人らしさの深掘りから出てきた背景やエピソードを添えたインタビュー記事になるので、記事の文章はかなり長い。Google analyticsのエンゲージメントを見ても、どの人の記事もめちゃくちゃ読まれてるわけではなく、長文は読まれにくい昨今の風潮から考えると、もっとコンパクトに、要点がサッと読めて、仕事の魅力がパッと伝わる企画の方が良いのではないか、と思い悩む時もある。

けれど、こんなメールをもらってしまったら、やっぱりこれで良いのではないか、と思う。

彼女が挫けそうになった時、このページにアクセスして記事を読み、もう少し頑張ろう、と思ってくれたのなら、それでいいんじゃないか。
もちろん、新卒採用がこの記事の目的ではあるので、それは目指すべきゴールとは違うのかもしれないけど、きっと、彼女と同じような感性を持つ学生の心にも、響いたのではないだろうか。

私たちは、WEBサイトの効果測定は長くても単年で行い、年度ごとに課題を設定して施策を打つ。それは絶対的に必要なことで、おざなりにしてはいけない。けれど、測定できない、こんな良いことも起きるのだというとことは、もっと伝えていきたいな。

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