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【 小規模事業オーナー様必見 】今こそ基本を見直すべき。小さな会社に必要なマーケティングとは?

本コラムは岩崎邦彦さん筆作「小が大を超えるマーケティングの法則」を参考にし作成しています。

今、日本経済は、長引くコロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻、温暖化に伴う異常気象、急激な円安と物価高など、ネガティブな外部環境に晒され、岐路に立たされています。

ご存知のとおり、日本の企業の99%が中小企業です。

日本経済が元気になるためには、小さな企業が元気になる必要があります。

小さな企業は小規模を嘆くのではなく、「小規模の強み」を見出し、それを生かすという発想が必要です。

結論をお伝えすると、「小規模」を力に変えるポイントは「本質の追求」「絆の力」「コミュニケーション力」です。

このコラムでは「小さな企業のためのマーケティング」の要点をギュッとまとめてお伝えする。

1:マーケティングとはどういう意味?

皆さん。そもそも論ですが、マーケティングとはどのような意味かご存知でしょうか?

抽象的な概念として捉えるケースが多く、○○マーケティングなど沢山の用語があって、人ぞれぞれで解釈が異なるのでは?と思っています。
「調査」「販売促進」「戦略」など。

答えはどれも違います。
マーケティングという用語はアメリカ発祥の言葉です。
英語で書くと " Marketing " 。
分解すると" Market " + " ing "。
つまりマーケティングとは直訳で、“ 市場(顧客)ing ”
すなわち「顧客になって、顧客であり続けてもらう活動」を意味します。

ここでは、①顧客を創造するための活動、②顧客を維持するための活動の2点をおさえてもらえたらと思います。

2:消費者は「価値」にお金を払う

では「顧客を創造し、維持する」ためのポイントは何か?
それは「価値」です。

例えば、化粧品。化粧品そのものは、水・香料・油などでできた「化合物」ですが、化粧品を購入する顧客は、「化合物」を買っているのでしょうか?

もちろん、そうではありません。

化粧品がもたらす「美しさという価値」を買っています。
顧客が認識する価値が高ければ高く売れ、逆に価値を感じなければ、
いくら安くしても売れません。

マーケティングはその「価値」を最大化できるよう定義し、顧客に伝わるようにし、顧客になってもらい、居続けてもらう仕組みを作る活動なのです。

3:「何」を売るのではなく「なぜ」買うのか

現代経営学、マネジメント理論で有名なピーター・ドラッガーは、「マーケティングの狙いは、販売を不要にすることである」との言葉を残しています。
顧客に「何」を売るのかではなく「なぜ」買うのかに着目することで、無理に売り込む必要がなくなる。顧客の関心は、商品そのものではなく、商品がどのような便益をもたらしてくれるか(価値)です。

また「なぜ」という問いを繰り返すことで、自社が顧客に提供している
潜在的な価値が浮かび上がります。
気をつけたいのが、価値は売り手が決めるものではありません。
買い手が決めるものです。顧客の視点は重要です。

4:こだわりを強みにできるのは小さな企業

企業間競争が激化する今日、選ばれる企業になるためには、自らの強みを把握し、それを徹底的に伸ばしていく必要があります。
「弱み」を改善しても、平均的な企業になるだけで顧客に選ばれる企業になりません。

ここで小さな店、小さな企業の強みは何か。

岩崎教授の全国の消費者1,000人に調査した結果は「個性」「サービス」「独自性」「専門性」といったキーワードが上位に上がりました。

一方大企業の強みは「品揃え」「豊富」「安さ」「価格」などのキーワードが上位に上がった。
この結果より顧客が求めているのは大企業と、小企業で違うのです。

こだわりを武器にし、それを強みにすることで大企業と土俵を変えて、生き残ることができるのです。

5:小規模を強みに変える3つの力

序論にて結論として伝えた、以下3つの力を説明します。

小規模を強みに変える3つの力:
①本質の追求、②絆の力、③コミュニケーション力

①本質の追求 = 個性 × こだわり × 専門性

小さなお店、企業にひかれる人々の期待に応えるためには、個性・こだわり・専門性から生み出される力、すなわち本質の力の強化がポイントです。低い価格で顧客を引き寄せようとする戦略は取るべきでありません。
なぜなら、小規模店志向の顧客ほど、低価格を重視しない、非価格志向であるからです。

②絆の力 = 顧客との絆 × 地域との絆

店との絆(きずな)を重視する顧客ほど、小さな店を好み、地元志向が強い顧客ほど小さな店に惹かれています。したがって、顧客との絆、地域との絆の2つの絆の力を強化することがポイントです。

③コミュニケーション力 = 接遇 × 情報の受発信

人とのコミュニケーション思考が強い顧客ほど小さな店に魅力を感じています。店員やスタッフの親しみやすさや態度といった接遇に関するコミュニケーションのレベルアップはもちろんのこと、顧客の声を吸い上げること、さらには顧客へのアドバイス、提案、情報提供など人を通じた専門知識の伝達も大切なポイントです。

6:シンボルを作る

小規模を「力」に変える3本の柱。その1つめの柱は「本質の追求」である。

本質の力である「個性」「こだわり」「専門性」を生かせず、課題を抱える中小企業は多く、消費者の不満要因となっています。岩崎邦彦さんによる調査より消費者の声を、以下参考までにピックアップします。

  • 「個性ある商品が少ない」

  • 「品揃えが画一的な感じで面白みがない」

  • 「ここにしかないという、こだわりの品を置いてほしい」

  • 「もっと店の色を出してほしい」

  • 「店は専門性があったほうが楽しいと思う」

小さな店や企業が顧客を生み出すためには大きな個性が欠かせません。
どのように「こだわり」を形にし「専門性」を磨き、「個性」を強化して行くのか。それはシンボル(核)を作ることです。

例えば、シンガポールといえばマーライオン。
これを見れば多くの日本人はシンガポールだとわかり、
国のイメージも浮かびます。

一方、隣国のマレーシアはどうか。世界遺産も美しいビーチリゾートもあり、面積はシンガポールの500倍もあります。しかし、シンボルがありません。イメージが浮かびません。

イメージが浮かばなければ、消費者に選ばれることは難しくなる。シンガポールとマレーシアでイメージや観光客数、経済力に差がついているのはシンボルの有無が大きく関わっていると考えられる。

小さな企業も同様、個性を発信し、消費者に選ばれるためには、シンボルが欠かせません。小さな企業は、すべての商品のレベルを平均的に高めるのではなく、何かに特化することが必要です。

そのためにはシンボルが欠かせません。
そして、シンボルに作るために次の条件が必要です。

①価値性・・顧客が価値を感じ、惹きつけられる

②独自性・・差別化されていて、個性がある

③優位性・・専門性、技術力など、自社の強みを基盤にしている

7:マーケティングは引き算

消費者は小さな企業に「色々あること=総合性」を求めていません。総合性は、大企業が圧倒的に有利です。小さな企業が、総合性を追求すれば本来売りにすべき「個性」「専門性」が薄まります。商品間に親和性がなく、シンボル(核)・個性・こだわり・専門性が薄まり、負の相乗効果が生まれてしまいます。単純に1 + 1 = 2 ではない。ときにマイナスになるのです。

ところが実際は総合性を売りとする企業が数多いのです。業績不振を打開しようと、少しでも売上に貢献しそうな商品の取り扱いを増やしてしまい結果、個性・こだわりが薄まり顧客が減少するのです。

「総合化のワナ」に陥った企業に必要なのは「引き算」する勇気だ。何を売り、何を売らないかを明確にすることが大切です。

直感的には品揃えを減らすと、売り上げも減ってしまうように思うが、
現実は逆です。品揃えの「引き算」で売り上げは「足し算」になりえます。小規模を強みに変えるためには、そぎ落とすことが大切なのです。

あのスターバックスも飛躍のきっかけは、商品の引き算でした。1986年までのスターバックスのロゴを見ると、「コーヒー」「ティー」「スパイス」との記載があります。つまり当時のスターバックスは、コーヒー、紅茶、スパイスを売る店でした。1987年に変更された新しいロゴからは、「ティー」「スパイス」の文字が消えました。紅茶とスパイスを引き算し、コーヒーに焦点を絞ったのです。

これまで引き算の重要性を伝えたが、引き算は的を絞ることでもあります。

小さな企業が絞るべきは、次の3つです。

①商品を絞る・・何を売る・売らないかを決め、売ると決めたシンボル商品・サービスに磨きをかける

②ターゲットを絞る・・全方位型のターゲッティングはやめて、想定のターゲットの絞り込みを行う

③知恵を絞る・・具体的にターゲット顧客の心や生活、課題を想像力を駆使し何をすべきかを考える

これら3つを絞り込むことで鋭く鮮明な個性を生み出し、顧客を創造することができます。「3絞り」の効果は、全国700社中小企業調査のデータからも裏付けられています。

「量のマーケティング」が要求される大企業は、「絞る」ことが難しいのです。「絞る」を武器にできるのは規模の小さな企業なのです。

8:顧客との絆を強くする

小規模を「力」に変える3本の柱。その2つめの柱は「絆の力」です。

小さな企業がターゲットとして設定する「小さな店に惹かれる人々」は企業との絆や、地域との絆を重視する消費者層です。顧客の「数」の追求では、大企業が圧倒的に優位であるが、顧客との「絆の強さ」の追求においては規模の大きさは決め手になりません。

では、どのように絆を強化していくか。
それは「売ってからが始まり」と捉え、一度買ってくれた顧客に末長く顧客で居続けてもらうことが重要です。そのためには顧客満足度を高める必要があり、顧客満足度は継続的に顧客と接触する中で定期的に調査をし、満足度の水準を把握するとともに、常に改善を目指すことが大切です。

忘れてはいけないのが、地域との絆を強くすること。「量のマーケティング」が要求される大企業は広い商圏が必要になるため、特定地域との繋がりを武器にすることは難しいのです。

一方、小さな企業は相対的に小商圏で成立するため、地域を深く知ることができます。地域特性に合わせた品揃えやサービス、地域に根ざしたきめ細かい経営ができるのです。つまり、地域にこだわることによって、大企業と競争の土俵を変えることができるのです。地域との絆を武器とする具体的な方法は多様です。

-地場産品の販売

-地元産の素材を使った商品開発

-地域の歴史・伝統を生かした店づくり

-地域内での異業種連携

-地域イベントへの参加、行事サポート

どのような方法をとるにせよ大事なことは、地域に深く入り込み、「地域の人の信頼を得よう、貢献しよう」という思いです。

9:顧客とのコミュニケーションが重要

小規模を「力」に変える3本の柱。その3つめの柱は「コミュニケーション力」です。

小さな企業が素晴らしい商品を有していても、顧客がそれを知らなければ、マーケティングはうまくいきません。積極的に顧客とのコミュニケーション、つまり「顧客に語りかけること(情報発信)」「顧客の声を聞くこと(情報受信)」が重要です。
小さな企業がターゲットとして設定する「小さな店に惹かれる人」とは、「店員からのアドバイス」「店員とのカウンセル」といった人的コミュニケーションを重視する消費者層のことです。

情報の受発信を効果的に行うためのキーワードは、「従業員満足」「スキルアップ」「権限移譲」です。

最前線の店員の満足度を高める。
店員のスキルアップに投資し、必要な訓練とサポートを行う。
個々の顧客に合わせた対応を行うために、店員へ権限移譲し、
一定の判断の自由を与える。

高度な専門性を背景とした「プロフェッショナルなコミュニケーション能力」は、ライバルに模倣されにくい競争優位の武器となります。

また顧客の声を聞くことは、真のニーズを探ることであり、企業を映し出す鏡であります。
小さな企業は「対面販売」「顧客アンケート」「ウェブサイト」などを利用し、積極的に顧客の声を吸い上げていくことが大切です。
顧客の声の中でも「不満」「苦情」は成功への種が隠されています。
その場しのぎの対応をしてはいけません。
苦情は無料のコンサルティングともいわれるゆえんです。

ただ、顧客は企業に直接不満を言うのは苦手なのです。
これを放置すると「悪い口コミ」が生まれてしまいます。
不満や苦情をできるだけ言いやすいよう、先に述べた、「声」を吸い上げる仕組みを設けておくとともに普段から顧客満足保証の姿勢、交換・返金・修理に対する方針を顧客に周知することも重要です。

もちろん単に不満や苦情を聞くだけでは不十分です。適切に対処するためのポイントとして「共感力」。
顧客の立場に立ち、顧客が何を感じ、何を考えているかを知る力で、顧客と同じ方向を向くことで、互いの距離は縮まり、情緒的な絆が生まれる。

10:まとめ

本コラムでは小さな企業のためのマーケティング戦略の体系的に構築し、その実践の方向性を述べました。

小規模を力に変える「①本質の追求」「②絆の力」「③コミュニケーション力」の三要素を高めるとともに各要素を融合させ、相乗効果を生み出すことができれば、小さな企業は時代の追い風を確実に受け止めることができるはずです。

あとは行動です。目指す方向に舵を合わせ、進み始めるだけです。

今、日本の経済は新しいスタート地点に立っています。小さな企業が日本経済に「新たな可能性」と「希望の光」をもたらしてくれるに違いありません。最後にそんな企業を私は全力で応援していきたいと考えています。
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以上最後まで、本コラムをお読みくださり、誠にありがとうございました。