自分を大事にできたら
子供の頃の記憶はあまりない。というかなるべく思い出さないようにしている。思い出したくもない。
就学前の記憶は花の蜜を吸った時の匂いくらいのもの。小学生時代は部活でいじめられて地獄だった。
じゃあ中学は、高校は、というと、扱いが「ターゲット」から「空気」に変わっただけで特段、良くならなかった。空気なのにたまに無視されたりもした。
大学に通わせてもらい、他人との関係をなるべく断つようにしたら急に楽になった。グループワークなどがあったため完全に関わりを断つというのは無理だったし、相変わらずレジュメやらなんやらいいように使われたりもしたが幾分か気は楽だった。学位授与式前に全員の連絡先を消した。式にも出なかった。
高校までの18年間で自己肯定感の低さを獲得した。大学の丸4年間をかけて、最低限、生活に困らないくらいまで自信をつけた。それを、新卒で入った会社で粉々にされた。返してくれ、と今でも思う。
そろそろ向き合わなければいけないと思って書いた。しかし、過去を書き連ねても、「もしも」の話しか浮かんでこない。今回でもう、過去のことを考えるのは終わりにしようと思う。日々は残酷だ。辛くても悲しくても前を向いていくしかない。
9月15日現在、この下書きを見つけた。一応、前を向こうとした日もあったのかとこれを読んで思い出した。結局、前を向けたのか向けなかったのかは分からず終いだ。とりあえず、会社はもう辞めようと思う。辞めようと思えた、と言う方が正しいか。辞めるのはまだ先の話ではあるが、一歩前進だ。自分を病気にした会社なんて誰が長居したいんだ、と数年かけてようやく気付けた。やっと決心がついた。
どれだけ後悔しても、病気になった事実は変えられなくて、私はなんとか、もしくは、なんとなくやっていく他にないのだと思う。それはずっとずっと分かっていて、なんなら自分なりにそうしていたつもりだった。でもそれって結局、現実から目を逸らしているだけなのかもしれない。だから、辞めようと決心できたことがまず自分にとっての一歩だ。
環境の変化にすこぶる弱いので、新しい会社に行くのは怖い。辞めるまでまだ時間もあるので、その間上手くやっていけるかどうかも不安だ。それでも負けたくないと思う。まずは少し先の復職をクリアするところから。
不安は拭えないし、なんなら今も少し苦しい。それでも少し前を向けた気がするので自分がとても誇らしい。多分、これから先も全然大丈夫じゃないけれど、少しずつ、自分を大事にしたいと思えた。そう思えて良かった。