【映画備忘録】えんとつ町のプペル
【注意】
この備忘録を書いている人間は、ロクな教養を持たず、加えて映画事情(監督・俳優etc)に詳しいわけではありません。有識者から見れば間違いだらけだとは思いますが、どうか暖かい心で受けながしてください。
ネタバレもあります。
今日はクワイエット・プレイス:DAY1を見てきました。
シリーズを通して特徴的な「音を立ててはいけない」というコンセプトは、映画館で楽しむことで味が増しますね! ホットコーヒーを啜ることすら憚られる静寂と、それを打ち破るクワイエット星人(エイリアン)の襲撃。
体験型は言い過ぎかもしれませんが、見ていて自然と肩に力が入ってしまいました。1.2と違って毛色は違いましたが、いい味変になったのではないでしょうか。
帰りにラーメンを食べたこともあり、満足の一日でした。
だからこそ、最高の一日だからこそ
いまこそがタイミングだと思ったのです。
見よう見ようと先送りにしていた作品を……観るときが来たのかと……
えんとつ町のプペル
原作者への言及はしません。それらバイアスを出来るだけ排除して視聴をしました。出来るだけ……ですけど……。
まず最初の感想は
「意外と悪くない」でした。
ネットでネタにされている程に酷くはなく、しっかりと良い所もある作品でした。ただ「意外と悪くない」というだけで
「傑作か」と問われれば、聞こえなかったフリをしますし
「良作か」と問われれば、首を縦に振れません。
【良かったと感じたところ】
・絵が綺麗
煙が空に蓋をする街はどこか薄暗く、街の灯がボヤけて滲み、夜に浮き彫りになる武骨な建物達は、どこか幻想的で素敵でした。原作が絵本ということなので、意識されているのかな。
キャラクターのCGも違和感なく、プペルのデザインが個人的にはストライクでした。また、序盤のゴミ焼却場やトロッコのアクションシーンは見応えがありました。
・ストーリーが分かり易い
ストーリーラインはスッキリしていて飲み込みやすかったですね。相関図も難しいことはなく、主人公ルビッチの周りの人間も暖かいことでモヤモヤを感じることなく、見ることが出来ました。一部の少年を覗いて
・メッセージ性がはっきりしている
「信じて上を向け。回りに何と言われようと挫けるな。挑戦を続けよう」的なメッセージが(良く悪くも)真っ直ぐ視聴者に伝えられます。狙っている年齢層が絵本読者層とするなら、悪くはないのかなと。
【ウヌヌ……と感じたところ】
・盲目じゃない?
周囲に馬鹿にされながらも「空には星があるんだ」と信じてやまなかった主人公の父親。父親亡き後、主人公(ルビッチ)はその思想を継いでいくことになります。
星なんかあるわけない。輪を乱すな。そう罵倒されるルビッチの心の支えになっているのは、夢を諦めず挑戦を続けた父親の背中でした。
良い話です。良い話なんですけど、はっきり言って「星を見る理由」が薄いと感じました。
えんとつ町は確かに閉鎖的で、言うなれば鎖国状態ではありますけど、街は成立っている様子でしたし、(おそらく)煙による影響でルビッチの母が病気をしていたり、海にはゴミが広がる始末。街の汚染が進んでいる描写は多くありました。街は限界点に達しつつあるにも関わらず、それに関する言及はなく、物語の中で主人公ルビッチは「信じたことをやりとげる」という盲目的な動機で動いていました。
もう少し、もう少しだけ大義名分が欲しいような……。
「病気の母に新鮮な空気を吸わせる」とか「限界点を向かえる汚染をどうにかするため」とかさ。でも同時に、そこら辺を削ぎ落したことでメッセージが強調されてるのかな……とも……。
・挑戦はタダじゃないぞ
捻くれた人間である私は、挑戦に失敗はつきものだし、挑戦をすることが全てではないと思ってしまいます。挑戦には覚悟が必要です。後悔を笑って受け入れる寛容さが必要です。さらに、それが周りの輪を乱し孤立するような選択肢なら尚更です。
だから主人公父親のルビッチに対する「諦めるな」というメッセージは、残酷ではないかなと。覚悟を決めさせるにはルビッチは子供すぎるのではないかと……。
そう思ってしまうのは、私がツマラナイ人間だという証左でしょうね……。
・将来設計出来てるか? 王様よ
物語後半では、えんとつ町が空を煙で覆ったのは、外界との接触を断つためだという設定が明かされます。
結末では、空の煙が晴れ、街は外界との接触を持っていくENDになるのですが、鎖国していた国が交流を持ったとき、大体はロクなことになりませんよね……。ルビッチ達の今後が不安になりました。
・陰謀論
あの世界には一定数、煙の中で光るナニカを観測した人間はいるようでした。もちろん主人公の父親も、煙の中の光るナニカを目撃した一人でした。それから、主人公の父親は星を求めて命を落としてしまいます。
命を賭けるなら確証があるはずです。彼には奥さんも息子もいますから。
それでも命を賭けたということは
「自分が見た光るナニカの正体を何らかの方法で「星」だと仮定して、夢を追い掛けた」
なら……マシです。ええ。マシですよ。
主人公の父親を夢に駆り立てたのは、決定的な証拠でも、海賊王の証言でもなく
居酒屋の与太話でした。
ええ!?と思いましたね。そんなことある?って。証拠もクソもないじゃんって……。流石に盲目が過ぎるんじゃないかなと。
あえて誇大表現をしますが
陰謀論にハマった人間を見ている気分でした。
確かに、誰も煙の奥を見たことはなかったかもしれません。星がないという証拠もありませんよ。人々は上を向くことを忘れたかもしれません。だからと言って、星があると信じ切って、街頭演説(紙芝居)に息子を引っ張り出して、大した証拠もないままに命を捨てるなんて……。酷いじゃないですか……。
・語るな父
物語のクライマックス。主人公ルビッチが空の煙を晴らす大一番。見ている側としては画面の中で起こることに集中したいのですが、父の語りが入ってくるのは邪魔に感じてしまいましたね……。
頼む!俺に星空を見せてくれ!黙ってくれ!
その他にも
・いじめっ子に全ヘイトを押し付けるじゃん。
・冒頭のダンスはなんだよ。
・コミカル要素が笑えない。
・お金の設定が臭すぎる。
とか色々と感じたものはありましたが、まあ……まあ……うん……。
こんなもんでしょう!
まとめ
ネットで酷評されているほどの超駄作ではなかったです。
観ることは出来ました。
ラーメン屋でラーメン(袋麺)が出て来た感じです。
ただ普遍的なテーマであるが故に、この映画だからこその特徴は見いだせなかったのかなと。象徴的なシーンも欲しかったし、主人公ルビッチとプペルの友情育みシーンが足りなかった。
それでも、ベビースターラーメンが出て来る覚悟だった僕からすると
味はしたので良かったです。
傑作にも、良作にも、駄作にも、なりきれない
そんな映画でした。