夏の終わりに⑨
注意)以下、淫猥18禁表現があります
彼女は腰を振りながら外を見つめて何かをつぶやいている。
「これじゃ、、、ない」
「ん、、、どうしたの?」
「私が欲しいのは、、、これじゃない」
ブツブツと独り言のように話している彼女の声は、テントの中で仰向けになっている僕にはよく聞き取れなかった。そんな事より彼女の腰の振り方が一層テンポアップして、同時にギュッギュッと締め付けてくる。二人とも汗まみれになっていて、彼女の汗以上に顔の赤みから普通ではない事がわかる。
「ちょっと休もうか、、、」
ふと僕が声を掛けると、彼女はそのまま腰を振り続ける。
「まだ、、、ダメ、、、」
「え、何?
どうしたの?大丈夫?」
心配になって彼女に声を掛けるけど、彼女は一向に腰を振るのをやめない。
「私が欲しかったのは、
周りの人が食い入るように見る視線
私の体を突き刺すような視線
誰にも気づかれなかったら
意味が無いの」
彼女は声を出せば外にいる人に聞こえてしまうということを忘れてしまったのか、呪文のように言葉を続ける。
「周りの視線を浴びながら
動物のような交尾をして
いやらしい人間であることを
知ってもらいたい
それが、、、私の夢、、、」
彼女の目はうつろになり焦点があっていない、しゃべる口調はつぶやきからハッキリした言葉になる。
「こんなに気持ちがいいこと
みんなに知ってほしいの
だから、、、だから、、、」
彼女の声が大きくなりテントの外でも聞こえてしまう。咄嗟に彼女の口を押さえようとしたけど、マットが潮で濡れて手が滑ってしまう。
「ダメだよ、、、声が周りに聞こえちゃう、、、よ、、、」
「こんなに、、、気持ち良いの!
もう、、、止まらないわ!」
彼女はそう言うと、テントのファスナーに手を伸ばした。さっきは内側のシートを開けただけだったけど、もう残った外側のシートを開けてしまうとテントの中は丸見えになってしまう。僕は必死に手を伸ばして彼女の手をつかもうと思うけど、騎乗位で跨られた彼女の力は思いのほか強く、僕は起き上がるどころか彼女の手をつかまえることすらできなかった。
「ダメだよ!それを開けたら丸見えになっちゃう!」
必死に抵抗する僕をよそに、彼女は不敵な笑みを浮かべ腰を振りながらテントのファスナーをゆっくりとおろし始めた。僕は手を伸ばして彼女の腕をつかもうとするとけど汗で滑ってつかめない。いざ起き上がろうとしても彼女にがっちり腰をホールドされてしまって身動きがとれない。薄いシートに隔てられた淫靡な空間はファスナーをあけられると、冷たい外界にさらされた。
彼女は腰を振りながら徐々にファスナーをあけ、半開きになった口で
「気持ち、、、いいの、、、これが、、、」
そう言いながら猛烈な勢いで腰を振り始めた。
ついにファスナーは全開になり、シートは僕の上半身を覆ってしまった。でも特殊なシートだから僕の視線には外の状態が丸見えになっている。もちろん僕の腰に跨った彼女は全裸で腰を振り続けている。
次第にテントの周りがざわつき始めた、一人が立ち止まってこちらを見始めると、立ち止まる人は徐々に増え、気がつけばテントの周りは人だかりになってしまった。浜辺のテントに群がる人、、、最初は大人の男性、でも気がつけば女性も立ち止まって見ている。子連れの親子は子供に見せないよう手で子供の目を覆っている。最初はナニコレ?と驚きながらも、誰も声は掛けてこない。立ち止まった人数の二倍の眼球が彼女の淫らな姿を見続けている。誰かが声を掛ければ止めてしまうのがわかっているからなのか、誰も声を発しなかった。人だかりができれば出来るほど、テントを中心としたその世界は異質を放ち周りの視線を釘付けにした。
彼女の目はすでに虚ろ、おそらく熱中症なのか抑制が効いていない様子。見事なほどに腰をくねらせながら下半身をこすりつけてくる。
「見て、、、お願い、、、」
彼女の呟きは徐々に
「見てほしいの、、、」
その願いは欲望となり
「淫らな私の姿を、、、
ああぁぁっっ、、、
だめぇ、、、
いぐっ、、、
あぅ、、、っ、、、」
騎乗位で腰を振り続けていた彼女は一瞬仰け反り天を仰ぐようにして後ろへ倒れる、そして下半身の痙攣と共に股間から放物線を描くように潮を吹くと同時に僕の欲望は押し出された。
これは現実なのか?
夢の中?
薄らぐ記憶の中で
あの暑さと彼女のぬくもりだけは今でも忘れられない。
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