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【読書感想】法廷占拠 爆弾2 呉 勝浩
めっちゃおもしろかった。
爆弾1より好きかも。
爆弾1がカレーなら、法廷占拠はカツカレー&サラダセット。
とにかく立てこもり犯 柴咲VS警察探偵 類家VSスズキの三つ巴の心理戦が熱い。
爆弾の続編の話なので、1を見てからの方が100倍面白いと思う。
てっきり、前作のボス「スズキ」が口で法廷を占拠する話かと思ってたらまさかの第三者による物理的な法廷占拠だった。
新たなボスキャラ柴咲は、スズキの裁判中に法廷をジャックして弁護士や遺族、傍聴席を人質に取るが、
ここで出てくるのがやっぱりキーアイテムの「爆弾」。
爆弾を抑止力として警察陣営をけん制して、柴咲は警察とライブ配信を通して交渉を行うが、
この柴咲のキャラがつかみどころがなく、何を考えているのかわからないセリフが見てる側にヒヤヒヤスリルを感じさせられる。最高。
人質はランダムに逃がすし、視聴者数めっちゃ気にするし、人質にお菓子めっちゃ食べさせるかと思ったら警棒で思いっきりぶん殴るし、
何を目的に行動してるのか全くわからない、ただ口は達者で何か自分の強い思いがあって動こうとしていることはわかる…
やっぱり、明らかに危険なやつより何考えてるかわからないやつのが怖いと思う。ヒトコワ。
なによりもこの柴咲が序盤の事件前に、スズキの被害者側の遺族として普通に生活しているシーンが描かれているのが、
法廷占拠後のギャップがあってすっごい怖い。
なんでさっきまで普通だったコイツがすごい達者に喋りながら法廷占拠をしちゃっているのか?理由が気になるようにうまくコントロールされてるなあと感じた。
前作「爆弾」も同じだったけど、
本作も既に犯人は分かっていて「トリック」と「動機」がわからないという構成になっている。
警察サイド類家は犯人サイド柴咲と直接やり取りをしながら、こいつは何を隠しているのか?発言の裏を探り合う心理戦が熱い。
そして、ここに絡んでくるのがトリックスター スズキで、スズキは犯人にも警察にもどっちつかずの立場でお互いをかき乱してくる。
ここがやっぱり前作でスズキの人柄を知っているうえでの全く読めない面白さを生み出していると思った。
スズキは本当にただの殺人鬼だけどなんか腰低いし、めっちゃ賢いし、コイツがただ素直に死刑になるだけとは思えない、
複雑な感情を持ったままこの法廷占拠という作品に臨むと思う。
すると、新たな立てこもり犯 柴咲が現れて、こいつはこいつでなんか賢いしよくわかんない。
そして、前作スズキを追い詰めた警察探偵 類家が今回もこの交渉の場に現れてくれる。頼もしいね。
スズキは味方して一緒に柴咲を追い詰めてくれるのか、柴咲+スズキタッグを組まれたとき警察陣営は勝てるだろうか、
アンコントローラブルな怪物に振り回される展開はある種ゴジラみたいだなとも思った。
キャラ達がどう動くのかワクワクさせられるのは、作者である呉さんがキャラを魅力的に書くのが破壊的にうまいからだと思った。
ラストもなんとなく3を思わせるような終わり方だったのでぜひ次が見たい。