【テニミュ3rd】青学と立海、それぞれの魅力【関東立海】
みなさん、こんにちは。
ついに、ミュージカルテニスの王子様関東立海が到着したのでレビューしていきたいと思います。
以前にnoteでも書いた通り、私は全国大会の青学vs立海からミュージカルテニスの王子様を見始めました。なので、逆行して物語を見ていくことになります。
最も盛り上がるであろう最終回から見ていくのは、どうも感覚的に盛り下がるかもしれない、と思ったのですが、そんなこともなく、とても楽しく見ることができました。
1.関東立海の試合の多さから現れたミュージカルとしての名シーン
今回、関東立海を見てまず思ったことは「試合の描写が多い」ことです。これは全国立海を中心に見ていたからこそ起こる感想かなと思います。全国立海は越前リョーマが記憶を取り戻すというドラマパートが長かったこともあり、試合の描写が飛び抜けて多いイメージが残らなかったのです。
ただ、関東立海はそのほとんどが試合描写。また試合中の曲目も非常に豊か。
具体的にはダブルスの「Take it Easy」からの「這い上がれ海堂/待っててくれ桃城」、「プロフェッショナルペテン師」からの「大石のテリトリー/復活ゴールデンペア」など、ひと試合に三曲ほどが出てきて試合の展開を演出しています。どの曲も盛り上がりますし、プロフェッショナルペテン師は曲の中でマジックショーのようなものが開催されたりして、キャラクター性を楽しく表現しています。
また、切原赤也の試合も非常に良い。「チャチャっと潰すぜ/Blood shot」からの「勝ちに執着する男」そして「だから勝つのは」。この曲の流れで試合の臨場感がマックスになります。余裕を感じさせる切原赤也、不二周助の両者が勝ちに執着し、「だから勝つのは俺だ」と己の心をぶつけ合うシーンはとても面白い。ミュージカルのワンシーンとして非常に完成されているように思いました。
と言うのも、全国大会の立海の前編後編は基本的にストーリー上は二つの物語が同時進行しています。つまり「越前リョーマの記憶を取り戻すこと」そして「全国大会決勝戦」。
主人公の越前リョーマが記憶をなくすことで、私たちは越前リョーマの状態を追いかけることに大きな力を使ってしまい、後編二幕でこの二つの物語が交わるまでは試合展開に完全に没頭できないのです。
関東立海も二つのストーリー展開があるとは思います。「主人公チームは関東大会で勝ちたい」「敵チームは実は部長が入院していて、彼の手術に間に合わせるために試合展開を早めたい」。全国と違うのは、二つ目のエピソードが主人公に関係ないことだと思います。主人公と関係がないエピソードであるからこそ、試合に集中できる。
ミュージカルとしての歌や物語の展開に全力で集中できているからこそ、切原赤也vs不二周助のような名シーンが生まれるのではないでしょうか。
2.立海大附属中学の魅力
もっと突き詰めれば「敵校の魅力」と言うことになるとは思いますが、今回は立海大付属中学の魅力が関東大会には溢れている部分から書いていきたいと思います。
基本的にミュージカルというのは主役にスポットライトが当たっている、と私は思っています。つまりこの作品で言うと越前リョーマにスポットライトが当たっている。だからこそ、見ている人間は越前リョーマに感情移入し、彼が勝つと嬉しくなるのではないかと思います。
ただ、この関東大会立海では、どちらかというと敵の学校、立海大附属にスポットライトが当たっているのではないかと思ってしまいます。そして、もしかするとそれは私の見ていない他の学校の際もそうなのではないか、と思っています。
大方ミュージカルで一番最初に歌われる歌は、主人公を紹介する歌、もしくは舞台を説明する歌のどちらかであるのでは、と私は思っています(拙い観劇経験からで申し訳ありませんが……)。
今回の関東立海で一番最初に歌われる歌は、立海大付属中学のメンバーが歌う立海の紹介の歌です。そのせいか、まるでこの関東大会編は主役が立海大付属中学のメンバーであるような気さえします。彼らの物語を追っていくようなイメージです。
部長の幸村が倒れて、そのために負けることを許さないと言うマインドが部員たちの中に出来上がった。切原赤也が真田弦一郎に制裁を受けるシーンは、ショッキングでありながら彼らの覚悟を表しているようでもあります。
青学も、今は部長の手塚が不在で、その中で大石が気を張って頑張っている。しかし青学の物語は全シリーズを通して描かれていくもので、この関東立海の中で詳しく語られることはない。関東立海で詳しく語られるのは、立海大付属中学の部員たちの絆の方なのです。
それを象徴するように歌われるのが、「もう迷いはない」なのではないか、と思います。
関東大会を3タテで終わらせるはずだった立海大付属のメンバーは、シングルスで立て続けに敗退し、そして幸村精市の手術に間に合わなかった。真田弦一郎は試合の前に幸村精市に連絡する。もう迷いはない、の中で、お互いの複雑な心のうちを聞くことができる。「もう迷いはない」と言うセリフは、それまで迷いがあったと言うことを示しているし、真田弦一郎の言う「怖くはない、お前の思いに守られている」と言う歌詞は、本当は怖かったことをも表している。
彼らの心理描写がかなり細かく、そして歌によって深いところまで描かれている。
だからこそ、この関東立海における立海大付属のメンバーは魅力的に見えるのだと思います。
3.青学の魅力
立海大の魅力はかなり大きく描かれています。それは先ほど言ったように、心理描写が細かく深いからであると思います。
しかし、その一方で青学も魅力に溢れています。
前述した「這い上がれ海堂/待っててくれ桃城」は、お互いへの気持ちを表した歌の中でも最も魅力的なものの一つではないでしょうか。精神的に揺さぶりをかけられて戸惑う海堂に「這い上がれ」と歌い続け、一人で試合をカバーする桃城。そしてそれにこたえ「待っててくれ」と歌い上げる海堂。
ミュージカルでは二人の強い絆を描くときに必ずと言っていいほど「デュエット」が使われると思います。ロミオとジュリエットのデュエットなんてとても素敵ですよね。
しかし、海堂と桃城の間ではデュエットはむしろ不要。彼らはパートナーでありながら、ライバル。心と心が通じ合うデュエットではなく、お互い反発しているからこそ通じる心を示すにはこの短い時間での連続した歌が良いのだと思います。
また、乾貞治vs柳蓮二。この試合は漫画で読んでいる時にも名試合だと思っていましたが、ミュージカルで見ていてもとても良い。
淡々としていた柳蓮二が、乾貞治が歌った「フォートゥーフィフティーン」を歌うところで、本当は投げ出してしまった試合に強い執着があったのではないかと思わせる展開は意味深です。
それ以上に乾貞治の芝居と歌が素晴らしい。「俺は過去を凌駕する」と歌い上げる全力の歌。そして、その乾貞治のパワーを強める青学のメンバーのセリフがいい。特に越前リョーマの「頑張れ!」という単純で全力の応援。そして、不二周助の「僕まで回してくれ!」という応援が良いです。
不二周助の応援を聞いたのちに、不二周助vs切原赤也戦を見る。必死で戦っていた乾貞治に応えるように不二周助もまた勝ちに執着し、勝利をもぎ取る。
試合を通して描かれる青学の絆は本当に見応えがありました。
さて、今回はミュージカルテニスの王子様3rd 関東大会 青学vs立海を見てみました。
全国大会と青学のメンバーが違っていて驚きましたが、事前知識で青学は代替わりをすることを知っていたので、なるほどこれが一代前か……と納得の気持ちで見ておりました。どちらのキャストさんもとても良いですね。一体いつごろ代替わりするのでしょうか。関東大会前と後で違うのですかね? なかなか難しいコンテンツです。
さて、そろそろ現地に行きたくなってきましたので、4thの関東大会氷帝のチケットを取りたい……と切に思っております。
まずはチケットの取り方を調べたいと思います。
それでは。