見出し画像

007 年金の繰り下げは損する?

公的年金の支給開始年齢は原則65歳ですが、年金をもらうのを遅らせると年金額が増えていきます。これを、年金の繰り下げ支給と言います。
繰下げ支給は、1か月遅らせるごとに、0.7%年金額が増えます。
たとえば、66歳から受取開始すると、0.7×12か月=8.4%増
     70歳から受取開始すると、0.7×60か月=42%増
となります。

仮に、65歳から100万円の年金額を受け取れたとします。
   66歳から受取ると1,084,000円
   70歳から受取ると1,420,000円
となります。

5年繰り下げると42万円も増えます。
どうしますか?

判断基準として、「何年で元取るか?」かがあります。
また、何年で元を取るかは支給額の計算だけという単純なものではなくて、所得税や住民税や保険料まで検討する必要があります。

とりあえず、単純に計算してみます。
65歳から100万円ずつ受け取ると75歳時点の10年間で1000万円になります。
一方、70歳から142万円ずつ受け取ると75時点の5年間で710万円。
総額でまだ追いつきません。75歳で死んだら、年金早くもらっとけばよかったと後悔します。
では、いつまで生きたら得するか?
それは81歳~82歳です。日本人の平均寿命に近いです。
つまり、平均以上に長生きするのであれば繰下げがお得、それより早く死ぬのであれば早くもらった方がお得になります。

これは、単純計算です。

実際は、増えた年金に対して税金や保険料がかかってきますので、繰下げがお得になるのはもう少し長生きする必要があります。
そうすると、平均寿命を超える長生きをしないと、年金で実質的な得をすることは難しく、逆に繰下げが損をすることになります。

繰下げが良くない点は他にもあります。

年金を早くもらって運用すれば、受け取った年金を増やすことも可能です。
普段の生活費は働いて得る給与や預貯金等で済ませて、年金は別口座に入れてNISAに掛けたり株式購入したりすれば、運用利息がついたり、株式配当も受け取れます。繰下げと違い流動性も高いので、必要な時にお金を引き出すこともできます。

国はやたらと繰下げのメリットを言ってきますが、それは国にとって都合のいいことがあるからということを理解しておく必要があります。
もちろん、自分にとっていい制度であれば利用すべきですけどね。



いいなと思ったら応援しよう!