構えと存在②

「リハビリテーション原義主義」とは、
わが国において医療福祉分野の意味で通っている”リハビリテーション”を、元々の意味である”復活”や”復興”に照らし合わせて、その意味を再編し、「(苦難にあっても)再び自分らしく生きる」という個人の意思と、それを適切に受容する社会の在り方を、本来の”原義に基くリハビリテーション”として、その価値を強く提示する考えである。
リハビリテーション原義主義の核心となる概念が 「構え」と「存在」である。
「自分らしく」生き続ける上での、人生のリハビリテーションを個人・社会相互に包容する世界。その為の、
「構え」とは、社会に対する個人の主観的な概念、「存在」とは個人に対する社会の客観的な概念である。

「構え」
それは、苦難に遭った際に、心の原点回帰を図り、自分らしく生きる事に信念をもって向き合う事である。

人生で苦難に遭遇した時、苦難を乗り越えるにあたってまず最初にすべき事、それは、
出来る範囲の心の中の自分の原点「ゼロ」に回帰する事だ。
「苦難を乗り越える為に価値観を捨てる事はできない」と、「ゼロ」に戻る事に不安を抱くかも知れないが、その仕組みは意外と単純である。
苦難によって自分自身が乱されて、「こんなのは私らしくない」と感じ、「私らしく生きたい」と感じる事が出来れば、その時、概ねの心の方向性は、自分の原点「ゼロ」に向かいつつある。
「その為にどうするか」という問いかけが心の中に浮かび出た時こそ、あなたが「ゼロ」の地点に立ったと言えるのだ。
苦難に打ちのめされそうになったあなたは、様々な価値観に埋もれて、立ち直るきっかけさえ掴めずにいるだろう。
自分が何者かも分からなくなり、自分を取り戻す事が出来なくなっている。
「自分らしさ」を取り戻さないといけない。
そこでまずは、心の中で様々な価値観の断捨離を行って、自分なりの「ゼロ」の心境になる事だ。
その上で「自分らしさ」とは何かを反芻するのだ。
改めてこの支援は宗教ではない。
リハビリテーション原義主義に基づく、セルフマネジメントの支援である。
自分の内面とつながっていない、外の世界の者に心を委ねなくて良い。
自分の外にある、心の楽園に導かれる訳では決してなく、
ましてや財産を寄進する必要など全くない。物理的な「ゼロ」になる事ではないのだ。
あくまで、厳しい現実社会で生きていく為の支援である。
心や財産を奪われては、現実社会で生きていく事は出来ない。
自分自身による、心の中に散らかった、多様な価値観の片付けである。
自分らしく生きたいと願う、純粋で真に強いあなたにはそれが出来る。
そして再び「自分らしく」しっかりと生きていこうという決意によって、苦難を乗り越える気持ちを作る。
これが「構え」である。

次稿に「存在」について記す。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?