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【劇評】オイディプス

2023/7/17
パルテノン多摩
作:ソポクレス
翻訳:河合祥一郎
演出:石丸さち子

ギリシア悲劇みたさにチケットをとったらまさかの三浦涼介さんだった。(同窓会のひとだ……)し、三浦涼介さんの演技に圧倒された。

とにかくまず似合いすぎる。あのお顔にオイディプスが似合いすぎる。
そしてゆうひさん共にお二人夫婦(そして母子でもあるが……)がとても高貴で素敵でした。

オイディプス、本人は至ってまともであろうとして、運命に逆らおうと頑張ったのにどうにも足搔きようもなく悲劇へと落っこちていく様がとても痛々しかった。オイディプスはあんなにも母を犯すまい、父を殺すまいとしてきたのに……どうして………

シェイクスピア悲劇って亡霊がきっかけで人間の愚かさが露呈してしまう感じだけど、ギリシア悲劇は運命に翻弄される悲しき人間って感じだなぁと思いました。
物語だとよく「人間の愚かしさ」みたいなのが強調されることが多いですが、意外と人は善良な側面も多いと思うんですよね。思った以上にひとは「よくありたい」と思っていて、そこに向かって努力している。根っから悪みたいなことはあんまりないんじゃないかなと。

オイディプスは、そういう人間の純粋で真っ直ぐな側面を見せつつ、やはり自然や神といった超越した存在に対して無力で太刀打ちができないというのが、古代らしいなぁと思えました。
悲しい木枯らしのような風音が印象的です。

千秋楽のカーテンコールで、オイディプスを翻弄し続けたアポロンへ向けるように、天へ投げキスをする姿がとても美しく素敵でした。
アポロンへの畏れと愛を感じ、オイディプス自身の運命を謹んで受け入れているような姿でした。

その他、古典テーマ劇としてのわくわくは下記に記載済


それから、千秋楽の日はとても天気がよく、パルテノン多摩の大階段越しの青空は、なんだかギリシアに来たみたいな感覚で良かったです。

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