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この糸が

前回お伝えいたしましたが、今年の燕三条工場の祭典へ行ってまいりました。つくれないモノなどない|美恩 (note.com)

「この期間以外の、普段の工場もぜひ見てほしいのです」
と仰ったのは、そもそもこの祭典の仕掛け人のお一人である、MGNET | 燕三条 工場の祭典2024 (kouba-fes.jp) の跡継ぎ武田氏です。
そう、そうなのだ。そうですね。

こちらの工場では、あらゆる金型を受けていらっしゃいます。
ご説明くださった熟練の方の
「これまで40年以上携わったすべての金型を覚えています。見れば、記憶が蘇る。それくらい、形にするのに苦労したから」
という言葉が胸に残っています。

文字の裁断面が埋没するほどの精密作業

上記は、以前にも有名になった"マジックメタル" です。これぞ職人技! 文字が消えるマジックメタル - YouTube
下記のワイヤーでカットしています。

左が使用前のワイヤー、右がカット作業で使用後

あの世界のApple社の製品部品も、なんとこちらで請け負っていらっしゃいました。ほとんどの金型は、どこの何になるのかは秘密にされています。なので、職人さんたちは完成してもどちらの製品の何の部品かは、知らないそうです。
さすがに、Apple製品に関しては外部が気づいて教えてくれたとのこと。
とても尊い作業だと感じました。

分かりやすいものだと、右上に映る電車のドアなど製作されています
ここから、世界へ。

日本の技術の高さとか技、などの文言はよく耳にするところですが、耳からアタマに入れても、理解には程遠いのだと改めて感じた次第です。
実際に自分の目で観て、作業音を聞いて、職人さんの表情や手元を知ったところから、その道程の深さに思い至るのです。
武田氏の仰る通り、祭典はひとつのきっかけであり、日常の積み重ねの厚みこそが実力であるのです。
それは、まるで薄紙を一枚一枚、日々重ねていった上で初めて強固になるケミストリーなのだと思います。

さて
今回、わたくしがめずらしく計画的に動けたのは、全てアテンドしてくださったS氏によるところなのですが、(希望箇所もなんと前日にお伝えしたしまつです)実は、ずっと願っていたあることの実現の一歩も導いてくださいました。

それは、職人さんとのコラボレーションです。

どうしても、形にしてみたい。
それは、きっかけはわたくしの悲しい経験からではあるけれど、それよりもこの形が、他の誰かの慰めになるかもしれない。
誰かが、待っているかもしれない。
この細い糸が、何になるの、というあの歌詞のように、不安を小脇に抱えたまま、しかし諦める気持ちにはなれない。

数年前にある方とお話ししていた際、
「ああ、それは、僕も考えていた。誰もやらないなら僕がやる、と思っていたの」
との言葉をいただき、ホッとしたような、必然を感じたような。
きっとその方が着手すれば、あっという間に実現ししかも確実に広まるはずです。糸どころか、大布のような方ですから。
今回、ひとの縁で繋がり、想いをお伝えできた段階ではありますが、改めてお知らせできる時が来ればと考えております。

職人さんは、下記のような伽藍彫刻師です。宮大工のルーツの持ち主です。

ある高名な寺社仏閣の修復依頼品
一体はアイデアを取り込み、新しく製作中
技を現す道具

いつかこの noteにも書いた記憶がありますが、わたくしは過去に戻りたいとは考えない種類のにんげんです。もうこりごり、の気持ちも、充実していた時も併せて。
未来のある一点から見れば、まるでドミノ倒しのようにこの人生の繋がりが現れるような気がしているのです。
これまで、様々な方に奇跡的に助けられてきたように、この一本の糸が、いつかどこかで意味を持つと。






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