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執着

「10代で経験した恋愛で、忘れられないのは未練じゃなくて執着だと思う」

どこで聞いたか、誰が言っていたのか、なんて憶えてないのに、ずっと頭から離れない。

あぁ、わたしは君に 執着 しているんだ

君 とは、19の夏の終わりに出逢った元彼氏のこと。出逢って3ヶ月、なんでも話せて、音楽の趣味が一緒で、本が好きで、暇電(電話越しにギター弾いてくれたね。)とか、沢山して、仲良しな友だち期間を経て付き合った。
その期間は、私の人生で最短の、1ヶ月。

それでも、私は君のことが人生で一番好きだったと胸を張って言えるし、きっと、ずっと忘れられないのだと思う。

「自分の気持ちがわからなくなった」

そう言って君は私のことを振ったよね。
インスタのDMで。
LINEは君の既読無視で終わってたね。

君が自分の気持ちを理解していないなら、
あなたと出会って4ヶ月ちょっとのわたしに分かるわけ無いじゃん。

君のことが大好きで、もっと会いたくて、ずっと一緒にいたくて、春休みには旅行に行きたいねって、眠る前にはいつも、大好きだよって、つい1週間前までそんなこと話してたのに

急にどうして?

君は付き合う前にこんなことを言ってた。
「俺、月に一回、何もかもどうでも良くなっちゃって、誰に対しても冷たく接しちゃう時期があるんだよね。女の子の生理みたいな」って。

今思えば、私を振った日、対応が冷たくなり始めた振られる3日前くらい、君はその時期だったのかなあ。
あの期間を乗り越えられていたら、あの時私が泣いて君を引き止めていたら、別れたくない って言えてたら、私たちは終わらなかった?

どうしたって遅いのに考えちゃうんだ、未だに

君と最後に電話した時、私はいつも通り、おやすみの前に「大好きだよ」って言った。
そしたら君、なんて言ったか覚えてる?

「ありがとう」って言ったんだよ。

「ありがとう」って。

そんな言葉聞きたくなかった。

私は、ただ、「俺も大好きだよ」っていつも通りのその言葉が欲しかった。

世界一大好きな君の声で、
世界一大好きな言葉を、
それだけが欲しかったの。

言わなきゃよかったって思った。
私たちもう終わりなんだって思った。

いつもは切らずに朝まで繋げる電話も、
苦しくて、泣きそうになったから切った。

その数日後に、私たちの関係は終わった。
びっくりするほどあっさりと。

君は最後に、「ごめんね」って言った。
最後くらい、「ありがとう」って言ってよ。

謝られたら、何も言えないじゃん。
優しくしないで。
最後くらい突き放して消えてよ。
最悪の記憶で終わらせてよ。
そういうところがずるいんだよ。
その優しさが痛くて苦しかったの
そんな君の優しいところが大好きだったの

私にだけ優しいところが本当に大好きだったの

君との思い出はどれも宝石みたいにきらきら輝いてて、眩しくて、
ふとした瞬間、思い出しては泣きそうになる。

女の恋愛は 上書き保存 なんて言うけれど、
絶対に上書きなんてしない。できない。したくない。

君にもう一度会えたら、
聞きたいことは山ほどある。
話したいことは、それはもうたくさん。

思い出に恋してるだけ とか
思い出は美化されるから とか散々言われたけどどうしたって君との思い出は輝いてるんだもん。どうしようもないよ。

だからこそ『執着』って言葉は一番しっくりきた。

執着:一つのことに心をとらわれて、そこから離れられないこと

私は、君との思い出に『執着』している。
手放したくない。誰にも否定されたくない。
君との恋愛にいつまでも心をとらわれている

時間が解決してくれるとかいうけれどそんなのは嘘。
ただ、向き合い方を知っただけ。
君を思い出して苦しくなった時の対処法を私は2年かけて習得した。

傷なんて癒えなくて、いまだに泣くことだって全然あって、でもそれに慣れる。

苦しい気持ちにも、全部に慣れる。

慣れることは、悪いことではないと思う。
思い出して泣くことがあってもいいと思う。
忘れなくていいと思う。

『忘れたいことの大半は忘れない方が良い。』
私の大好きなバンドマンもそう言ってたし

この痛みに慣れたからこそ、私は君との思い出を捨てないで、心の中に大事に閉じ込めていられるのだと思う。

この思い出が私を泣かすことの方が多いけれど、辛い時支えてくれることだっていっぱいあった。

君がくれた言葉も君が私だけに向けてくれた笑顔も仕草も声も全部が今の私を形作ってくれている。

ありがとう。

せめて、私の思い出の中からは消えないでいて

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