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【読書日記】弱さから生まれる持続可能なデザイン
この本を通して、著者は自身の様々な経験を踏まえた上で「あなたの弱さがだれかの強さを引き出す力になる」というメッセージを発信している。
才能の使い道をスライドする
一つのフィールドで突き詰めて取り組んでいることに目を向けると、上には上がいる。けれども、その才能は他のフィールドで思いがけない形で発揮できるかもしれない。
才能の使い道をスライドする際のポイントは以下の3つ。
①本業で得た力を本業以外で活かす。
②潜在的なマス(誰か)ではなく、顕在的なひとり(あなた)のために。
③使い捨てのアイディアではなく、持続可能なアイディアへ。
世界は一度に変えられない
著者は「SPEED」「SCALE」「SHORT」基準ではなく
「SLOW」「SMALL」「SUSTAINABLE」基準でアイディアを生みだすクリエイターになったことで新たなフィールドで自分にしかない才能を開花させている。
世界は一度には変えられないが、今や一人一人がクリエイターになれる時代。だからこそ、それぞれが自分もしくは身近なマイノリティに目を向けたアイディアを発信し続けることができれば、世界は少しずつ変わっていくのかもしれない。
感想
マジョリティを起点にした大量消費型のアイディアやビジネスは効率的にお金に換えられるが儚く果てしない。
一方で、マイノリティもしくは個人を起点にしたアイディアや仕組みはお金にすぐに直結しないかもしれないが、成功した時には社会に大きなインパクトを持続的に与えることができる。
日々の生業に対して、本当に自分じゃないとできない仕事なのかという違和感を持っている人に、ぜひ呼んでほしい一冊。
この本の中で私に最も刺さったフレーズは、「器用すぎる人ほど自己貢献という項目も加えよう」という言葉。ついつい誰かのために働きすぎてしまう人ほど、自分のために自分の才能を発揮してほしい。
著者は、そんな人が「自分に目を向けるための方法」をはじめ、持続可能な仕組みづくりのためのポイントやプロセスについて詳しく具体的に述べてくれている。
また、言葉の力についても深く考えさせられた。
私たちが認識している世界は、すべて言葉が生み出す概念によって規定されている。そう考えると、言葉が私たちの生活に与える影響は絶大で、決して言葉をないがしろにして考えることはできない。
人を動かす立場にある人こそ自ら発する言葉に、いかにリーダーシップを持たせることができるかが重要だと理解できた。
ゆるスポーツというものの存在を初めて知った。
昨日読んだドイツのスポーツの在り方に近いものを感じさせてくれて、非常に興味を持った。また、後日詳しく調べてみようと思う。
読んだ本
マイノリティデザイン
著者 澤田智洋