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下あごのズレと重心の偏り


重心バランスをとるのは、骨盤や腰椎、
足だけだと思われがちですが、
上半身では、下あごがバランスをとる
ために最も大事な部分となります

下あごズレると、顔がゆがむのは
もちろん、全身に影響を及ぼします。

そしてこの下あごを矯正することで、
左右前後にズレている重心を元に戻し、
骨盤や背骨のゆがみを整えることが
可能となるのです。


1 顎関節の構造と下あごのズレ


顎関節は、側頭骨と下顎骨で
構成されております。

側頭骨に引っ掛かって、ブラブラと
垂れ下がっている形で存在し、
この下あごの部分でバランスを
取りながら
重心を保っているのです。

上あごに対する下あごの
位置関係としては、
前後のズレがあります。

上あごに対して下あごが後ろに引っ
込むと、かみ合わせが深くなります。

上あごに対して下あごが前に出ると、
かみ合わせが浅くなります。

もう一つ、上あごに対して下あごが
左右いずれかにズレる場合があります。

下あごがズレる側
かみ合わせが強くなり、
かみしめ・食いしばる側となります。

自分で下あごを左右にズラして
みてください。
ズラしやすい側が 下あごが
ズレている側で、
非重心側と一致します。

2 下あごのズレが顔をゆがませる


自分の顔を鏡で見ると、
口角の左右差や鼻の曲がり、
目の大きさの差、耳や眉毛の位置の
左右差など、顔のゆがみが
気になる方は少なくないのでは。

実は顔のパーツの左右差は、
大なり小なり誰でもあるもので、
テレビで女優さんや政治家の方などを
見ている時にも 職業柄 顔のゆがみが
気になる事が多々あります。

下あごがズレる側の口角が上がり、
鼻先は逆側を向きます。

下あごのズレる側の目は小さくなり、
目の位置は下がります。
さらに、頬骨が前に突出してきます。

下あごのズレる側と逆側は、眼球が
凸し、鼻の孔が狭くなります。


顔のゆがみ方には
重心の掛かり方により
一定のパターンがあります

この様に、下あごが左右どちらかに
ズレると、
顔全体のパーツの位置や形も
変わってくるのです。

下あごは、重心側と逆側にズレます。

一般的に、椅子に座った時に
上に足を組む側、
胡坐で上になる足が重心側となります。

立て膝をする側の足、
横座りで足を横に出す側が非重心側で、
非重心側にあごがズレやすいのです。

下顎のセルフ矯正としては
下あごズラし〕があります。

下顎を、非重心側の手の親指と
人差し指ではさんで、
息を吐きながら、
非重心側にズラします

次に、息を吸いながら
親指で押すようにして
反動をつけて
重心側に下顎を矯正します

3回くらい繰り返して行います。
これを一日に数回行ってみてください。


右重心の場合、
いったん下顎を左にズラせてから
左親指で右に矯正する


3  下あごがズレる側は かみしめが強くなる


下あごが左右にズレる側は、
クレンチングといわれる
ギューッと奥歯をかみしめる作用が
強くなります


咀嚼筋と呼ばれる 噛む時に働く
筋肉の緊張が強く、
噛む作用、口を閉じる働きが
表れやすいためです。

具体的には、咬筋の浅層(外側)
こめかみの筋肉である側頭筋
耳の前の窪みの上で触れることが
できる外側翼突筋の上部(上頭)
顎二腹筋外側(後腹) 舌骨上筋群など。

そのため、
これらの筋肉が過剰に緊張すると、
口を開けにくくなることがあります。

最近では、スマホやパソコンを
集中してやり続ける人の中に、
口中に2本の指が入らないほどの
開口障害がみられることも。

集中して画面を見続けたり、
時間に追われて作業をする時
無意識のうちに食いしばって
いるのが原因のよう。


4 重心側と非重心側の 食いしばり方の違い


重心側にも非重心側にも 
噛みしめ・食いしばりは起こります。
非重心側は、下の歯が奥に入り 
噛みしめが深くなります。


右重心の場合、左にあご先がズレて
左側のかみ合わせが深くなります


そのため、歯、顎の骨や歯茎への
ダメージが大きくなります。

歯が割れたりひびが入る、             
歯茎が腫れたり痛むほか、
口が開きづらい、口を開けると痛い
噛むと痛い、噛む時に顎関節の
音がするなど。

重心側は、下の歯が前方に出て
噛みしめが浅くなります。

しかし、歯と歯を合わせる程度の
歯列接触癖
口を開けて行う食いしばり
主体となります。


そのため、歯、歯茎へのダメージより、
下あごの筋肉やのどの筋肉への
ダメージがが大きくなります。

あごの痛みやカクカク音がして
不安定などの違和感のほか、
口が開けると音がする、
顎の下にグリグリする硬結があり
押さえると痛い。

さらに、のどの痛み、食べ物を
飲み込みにくいなどの症状も、
のど自体に異常がない場合は、
下あごを前に出しての
食いしばりが原因のことも、
少なくないのです。

この場合には、下あごを前に出す
筋肉や口を開ける筋肉
外側翼突筋下部(下頭)、 
舌骨下筋群などの
過度の緊張状態が関わるので、
これらの筋肉を緩めるとよいのです。


5 あご筋のスジを揺すって緩める


先に紹介した
下あごのセルフ矯正を行う場合、
あごの筋肉のスジを揺すって
緩めておくと
スムーズにいきます。

また、あご筋のスジを緩めると、
顎関節症に効果があるのはもちろん、
かみしめ・食いしばりによる
歯や歯茎のダメージの予防にも
効果的です。

さらには、体のムダな力が抜けて、
リラックスモードに入り易くなるため、
首や肩のコリ、頭痛にもよく効きます

側頭筋咬筋外側翼突筋
筋線維に垂直に揺するのがコツです。

重心側は、口を開いて下あごを前に出す
外側翼突筋下部(下頭)と咬筋深層(内側)

非重心側は、口を閉じて
下あごを後ろに引く
咬筋浅層(外側)外側翼突筋上部(上頭)
筋繊維に垂直に揺すって緩めます

スジがコリコリとはじけるのを
確認しながら、
5~6回ずつ、ゆっくりと揺すって
ください。


側頭筋と咬筋は下顎を後ろに引き
口を閉じる働きがある
ただし、咬筋の深層は
下顎を前に出す働きを持つ

外側翼突筋は上部は
下顎を後ろに引き口を閉じる働き 
下部は下顎を前に出し
口を開ける働きがある


6 舌骨筋を緩めると厄介な症状が消える!


あまり知られていませんが、
非重心側にあごがズレるのに伴い、
舌尖(ぜっせん)も、同じ側に偏ります

当然、舌骨筋のバランスも
失われています。

右重心の人は 舌尖が左を向き
左重心の人は右を向く

  舌の根元にある舌骨は 
宙に浮く 珍しい骨で、
上下左右の筋肉の 緊張バランスで
その位置が保たれています。

ストレスやパソコン・スマホ画面を
見続けることにより起きる
食いしばりにより、それらの舌骨筋の
左右の緊張バランスが崩れます。

その結果、舌骨や下あごの位置が
左右にズレ、思いもよらぬような
様々な症状を引き起こします。

舌骨を境にして、舌骨上筋群
舌骨下筋群に分かれます。

舌の先が偏る側は、
舌骨上筋群が緊張し、
逆側は舌骨下筋群が緊張して
それぞれの引き合いにより
バランスが保たれています。

顎や首とつながる舌骨上筋群は、
下あごを引き 口を閉じる
働きがあり、鎖骨や胸骨、
肩甲骨とつながる舌骨下筋群は、
下あごを出し 口を開く
働きがあります。

舌骨上筋群の一つ、顎二腹筋(後腹)の
緊張による硬化は、
顎関節というよりは
下あごと首の間の痛みを引き起こす。

下顎の下にグリグリとした
有痛性の硬結を認めることもある。

舌骨下筋群の一つ、
肩甲舌骨筋の緊張による硬化は、
肩こりを引き起こします。

また、口内炎ができやすい、
頬の内側や唇をよく咬む、
風邪でないのにのどが痛いなどの
厄介な症状も、食いしばりによる
舌骨筋の緊張による硬化が
原因の事も少なくないのです。

舌骨筋のバランスを緩めるため、
首の前側の筋肉をつまんで
プチッというくらいに
軽く引いてゆるめます。

左右の首の前側、横側の筋肉を
つまんでから引く形で
弾いてゆるめる


7 舌骨筋を緩める 耳引っ張り首回し


首スジつまみの後に
舌骨筋のストレッチ調整を行います。

重心側は耳たぶ、
非重心側は耳輪を持って
逆側にゆっくりと首を回します

〇 重心側の耳引っ張り首回し

右重心の人は、右の耳たぶをもって
左に首を回します

左重心の人は、左の耳たぶをもって
右に首を回します

自然に耳たふが外側にけん引されます。
重心側の舌骨下筋群が緩みます

重心側の耳たぶをもったまま
逆側に首を回して舌骨筋をゆるめます


〇 非重心側の耳引っ張り首回し

右重心の人は、左の耳輪をもって
右に首を回します

左重心の人は、右の耳輪をもって
左に首を回します

自然に耳輪が外側にけん引されます。
重心側の舌骨上筋群が緩みます。

非重心側の耳輪をもったまま 
逆側に首を回して舌骨筋をゆるめます



下あごのズレや舌尖の曲がりは、重心の偏りと関係があります。
その原因となるあご筋や舌骨筋の緊張・硬化をゆるめると、
あごや歯の痛みはもちろん、首や肩のコリや頭痛も改善します


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