今日もaudible 第8回:【改題】The Picture of Dorian Gray
audible uk の会員ですが、リンクは日本版のaudibleにしました。
audible uk については下記をご参照ください。
今日もaudible: ところで audible uk って何?
それではスタートです。
The Picture of Dorian Gray 簡約版
今日もaudible 第7回:ナレーターで楽しむ で、BBCドラマの Sherlock でレストレード警部を演じた Rupert Graves が朗読した The Picture of Dorian Gray を軽く紹介しました。abridged 簡約版です。
abridged 簡約版とは何かについては下記の記事をご参照ください。
同じタイトルなのに、朗読の長さが数時間も違うのはどうして?ーーそれはabridged か unabridged かの違いですよ: 今日もaudible 第6回
(「Rupert Gravesといえば、Maurice の Alec でしょ!」というみなさま、わかります、わかりますが、ここはこらえてください。)
簡約版ですから、短くて(2時間54分)、すぐに聴き終わります。
もともとの小説を翻訳でも英語でも数回読んでいるので、あらすじも知ってはいます。いろいろ忘れていましたけど。
本日の表現: a meat tea
今回耳に残ったのは a meat tea という言葉です。たしか英語で読んだ時にも引っ掛かった言葉でした。
いつもは耳で聞いた文章を引用文ということにしていますが、今回は英語の本があるので、そちらから引用します。ドリアンとヘンリー卿(Harry)の会話です。ドリアンが入れ込んでいる若い女優の芝居を見に行く相談です。
what an hour! が小文字で始まっているのは、この本のままです。図書館で別の出版社のものを確認すると What an hour! でした。
OEDによる meat tea の定義
さて、a meat tea とは何でしょう。
Oxford English Dictionary (OED) web版では
肉料理が出てくる a tea のこと、a high tea のこと、とあります。
high tea は何かというと
お茶の時間ではなく食事です。紅茶を飲みながらの早めの時間の晩御飯です。アフタヌーンティーとは別物です。
OED による tea の定義
念のため tea 自体の定義も確認しましょう。
同じくOED web版では、tea の4つ目の定義として下記のように説明されています。
やはり食事ですね。ジャマイカでは一日のうちの最初の食事というのがおもしろいです。
meat tea, broth, beef tea
meat tea に戻ります。
meat tea を画像検索や動画検索すると(便利な時代ですね)どうなるでしょう。これ、いままでに何度かやっています。そのたびに混乱します。
辞書の定義のような、つまり食事としての画像や動画も出てくるのですが、なかには broth も混じっているのです。骨を煮出したものですね。みなさんも検索してみてください。
OED では tea の定義の5番目に下記のように記載されています。
でもこれでは broth ではありません。
meat tea を画像・動画検索して出てきたものの中に beef tea がありました。そこで beef tea も OED で調べました。
tea =「お茶」とは言えないことがたくさんあるのですね。
注釈付き The Picture of Dorian Gray による meat tea の説明
ところで、図書館で注釈付きの The Picture of Dorian Gray を2冊見つけました。
W. W. Norton & Company, Inc. による The Picture of Dorian Gray: authoritative text, backgrounds and contexts, criticism / Oscar Wild ; edited by Michael Patrick Gillespie には1891年版と1890年版が両方収められています。
1890年版には a meat tea が出てくる今回の引用部分がありません。
1891年版の当該箇所には a meat-tea について下記の注釈があります。
先述の OED の meat-tea の定義と同じです。
本文からの引用部分で a meat-tea に言及したのは Harry と呼ばれているヘンリー卿( Lord Henry )です。
そんな時間にとる食事は a meat-tea だ、紳士(自分たち)はそんな時間に食事しない、という言い方から考えると、a meat-tea をとるであろう当時の労働者階級の人を小ばかにした物言いのような気がします。
と思っていたら、Black cat という出版社のものには a meat-tea にはっきりと下記の注がついていました。
ここまでくると 'It will be like having a meat-tea, or reading an English novel.' の後者、つまりイギリスの小説を読むような時間だというのも、ヘンリー卿の皮肉が入っているということでしょう。
どういう意味での皮肉か考えてみたいところですが、本日はこの辺で。
おまけ--abridged ではなく unabridged の The Picture of Dorian Gray についてのつもりが「高慢と偏見」のことばかり
unabridged 完全版の The Picture of Dorian Gray はものすごくたくさんあるのですが、私は Crispin Bonham-Carter の朗読を聴きました。
なぜって、それは BBCドラマの「高慢と偏見」でダーシーの友人ビングリーを演じていた俳優だからです。好きなものに関係するものはどんなことでもうれしいではありませんか。
スクールカーストの一軍ってこう言っていいかもーーBlood Sisters by Jane Corry:今日もaudible 第3回(改題)では、ナレーターのひとりである Emilia Fox が「高慢と偏見」でダーシーの妹ジョージアーナを演じた俳優だとわかってうれしかったことを書きました。
そしてダーシーこと Colin Firth による朗読作品は今日もaudible 第7回: ナレーターで楽しむでとりあげました。
「高慢と偏見」のヒロインであるエリザベスの姉ジェーンを演じた Susannah Harker の朗読も素敵です。2冊持っています。
コレクションが増えていくようで、幸せです。ひとりごとです。
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